熱々おでんに熱湯風呂――リアクション芸のスペシャリスト『ダチョウ倶楽部』肥後克広(51才)の長女・千暁(23才)は現在、ロックバンド『Hac』のボーカルとして都内のライブハウスで精力的に音楽活動をしている。
「いつかメジャーデビューして、ドラマや映画の主題歌に使われたい。作詞も担当しています」(千暁・以下「」内同)
ステージ上の堂々としたパフォーマンスからは想像できないが、性格はいたっておとなしい。そのため、学生時代には「お笑い芸人の娘」であることに悩んでいた。
「肥後一家は近所でよく知られていたんです。周りはすごく楽しい子に違いないと期待していたみたいで、同級生から『本当にダチョウ倶楽部の子なの?』とよく言われました。中学時代は茶道部でしたし、地味でした。
何より私自身が、当時は熱いおでんを食べたり裸になったりする父を恥ずかしいと思っていました」
千暁が最も嫌だったのは、父親がテレビで自分について話すことだった。
「同級生や先生が見ているし、そんなこと言ってほしくないに決まっているじゃないですか。高校生の時に我慢できなくて、父に文句を言ったら、『みんなの笑顔を作るためには、ひとつの家族が犠牲にならなければいけないんだ!』と言われたんです。いったい何を言っているんだと思いました」
そんな父を尊敬するようになったのは、5年前のある出来事がきっかけだった。3才上の兄は父と同じお笑い芸人。ある日、父は家で自身の出演するテレビ番組を見ながら、兄にお笑い論を語っていた。
「父はとても真剣でした。『おでんの鍋には開け方があってパッと勢いよく開けるんだ。すると湯気がカメラの前にぶわっと上がってますます熱そうに見える』とか。ダチョウ倶楽部の笑いって、実はすごく計算されているんだなって初めて知りました。それからですね、胸を張って、おでんと熱湯風呂で育ててもらったと言えるようになったのは」
父はダチョウ倶楽部の上島竜兵を中心とする芸人集団「竜兵会」の集まりに連れて行ってくれたことがある。
「その時は、飲み屋ではなくて焼き肉屋でした。有吉(弘行)さんが竜兵さんに毒舌トークをしていて、ここから毒舌キャラの有吉さんが誕生したんだなと思いました」
学生時代には地味だった彼女は父と同じように人を喜ばせる表現者の道を選んだ。普段はおとなしいけど、実は情熱的。そんなリーダーのDNAをしっかり受け継いでいるようだ。
※女性セブン2015年1月8・15日号