2015年は戦後70年の節目の年となる。攻勢を強める中国に日本はどう対処すべきか、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が提言する。
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終戦70周年となる2015年は、日本にとって極めて厳しい年になりそうです。
中国はこの節目にさらに対日批判を強化し、映画製作や慰安婦像の設置の後押し、米国のシンクタンクやジャーナリストを抱き込んでのメディア戦略など、ありとあらゆる手段を使って世界中で日本批判を繰り広げてくるでしょう。
その狙いは国際社会における日本の立場を貶めると共に、日本人から自信と誇りを奪うこと、すなわち日本の力を削ぐことにあります。
習近平国家主席が唱える「中国の夢」とは、東シナ海や南シナ海をはじめとする領土・領海の拡大と覇権確立だけでなく、金融・経済のルールも含めた中国主導の世界秩序の構築です。それは日本や東南アジア諸国のみならず、世界全体にとっての悪夢です。
しかし、自由と民主主義陣営の超大国として中国を抑えるべき立場にあるはずの米国は、オバマ政権のもとで完全に内向き、後ろ向きになっています。
昨年11月に北京で習近平国家主席と10時間も語り合ったとされるオバマ大統領は、「太平洋は2つの大国を受け容れるのに十分な広さがあるという習近平主席の言葉に、私は同意する」「両国関係を新たな地平に引き上げる」などと、中国の主張する新型大国関係に事実上同意した発言を重ねました。驚くほどの外交戦略の欠如です。
そんな折だからこそ、私は安倍首相に、折り目折り目で靖国参拝をしてほしいと考えています。
昨年11月の北京APECでの首脳会談を前に、日中両政府は4項目の合意文書を発表しました。なかには「歴史を直視し、両国関係に影響する政治的困難を克服する」という項目もありますが、靖国参拝には一切触れておらず、安倍首相の手を縛るものではありません。 靖国の文言を盛り込まないことで日本側は、首相が決める段階での靖国参拝への道をきちんと確保したと考えます。
※SAPIO2015年2月号