ビジネス

2013~18年の5年で年収500万円世帯は年43万円負担増の試算

 2014年4月の消費増税以降、相次ぐ負担増に実感を持つ人が増えている。消費税だけでなく、厚生年金保険料や健康保険料など、社会保険料の引き上げも続いている。これがどれほどの負担なのか、家計の見直し相談センター・藤川太氏がシミュレーションする。

 * * *
 増税、社会保険料の増加、物価上昇という「トリプルパンチ」が高所得者だけでなく、低所得者にも襲いかかろうとしています。もはや「いままでと違う」という危機感を持たなければ、家計が崩壊しかねない事態が待ち構えているといっても過言ではありません。

 はたしてどれほどの負担増になるのか。今後予定されている負担増によって、8%への消費税引き上げが実施される前の2013年から、その5年後の2018年までに、どれだけ家計の負担が増えるかを試算してみました。

 まず消費増税の影響は、税率が当時の5%から10%まで引き上げられるものとし、社会保険料控除などによる税金の増減も加味しました。社会保険料は、厚生年金保険料が2013年時点の16.766%から18.3%に上昇、健康保険料(協会けんぽ)も10%から11.2%に上昇した数値としました。物価上昇の影響は総務省「家計調査年報」をもとに、政府・日銀の目標通り、2%のインフレが5年間続いた場合の金額としています。

 それらの前提条件で年収別に負担増を算出しましたが、たとえば45歳夫婦で子ども2人(15歳、12歳)、年収500万円世帯の場合、年間43万円以上も負担が増える計算です。消費増税の影響もさることながら、やはり物価上昇の影響が最も大きくなっています。

 これまで負担増といえば、せいぜい年間2万~3万円といった数万円単位で済んでいたものが、これからは数十万円単位という1ケタ違ったものになるわけです。

 ましてや低所得者ほど負担率が高くなっています。夫婦・子ども2人世帯の場合、年収1000万円なら約76万円と金額は膨らみますが、年収300万円世帯の負担増は約29万円と1割近くに上る。政府の思惑通り、景気回復が進んだとしても、5年で年収が1割以上増えることはそうそう望めないでしょう。この負担増をカバーするだけの年収増も期待できず、家計が逼迫することは想像に難くありません。

 しかも、この数字はあくまで「現在予定されている負担増」にすぎません。今後はさらなる負担増メニューが目白押しになる見込みですから、厳しさは増す一方です。相当な覚悟を持って臨む必要があるでしょう。

※マネーポスト2015年新春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン