年の瀬も迫った昨年12月29日の早朝7時、女性セブン記者の携帯電話が鳴った。
「突然すみません。あの、以前、世田谷で一家4人全員が殺害された事件がありましたよね。あの時に殺された被害者が、さっき、私の家に来たんです…」
電話の向こうで、言葉を選んでそう話すのは、栃木県在住の主婦、A子さん(49才)。その口ぶりからは、決していたずらではないという緊迫感が伝わってきた。それもそのはず、彼女は女性セブンが昨年、“異能の主婦”として幾度も報じた、並外れた霊感と透視能力を持つ女性占い師なのだから。
2000年12月30日未明に発生し、日本中を震撼させた、「世田谷一家殺害事件」は、14年が経った今も未解決のままだ。そんな重大事件の亡き被害者が、A子さんの元を訪れたとは、一体どういうことなのか…。A子さんの元へと急行すると、彼女はそこで、衝撃の告白を始めたのだった。昨年12月29日の早朝6時。家で鏡餅を作っていた時のことだったという。
「被害者の1人である父親の宮澤みきおさん(享年44)の霊が、フッと現れまして…。いまだ成仏できていないんでしょう。“どうか犯人を捕まえてください”って、助けを求めてやって来たんです。そこで、事件当夜の様子や、彼がその目で見た犯人の顔まで、細かく話してくれました」(A子さん)
A子さんは他ならぬ“みきおさん”から犯人の顔を教えてもらったというのだ。
「彼が見た犯人は、目と顎がすごく特徴的だったそうです。目が大きくて、涙袋が膨らんでいて、顎は四角くエラが張っている。鼻の横や目の周りにあるホクロも印象に残っているって。犯人はトレーナーを着て、背中にリュックをしょっていて、指先が黒く汚れていたとも言っていました。また、引き締まった筋肉質の体形で、30才前後、身長は170cmぐらいと話していました」(A子さん)
警視庁が発表している犯人像も、遺留品の洋服から見て、170cm前後でやせ形だった可能性が高いとしている。A子さんが続ける。
「みきおさんは、“犯人の男は家の周りで何度も見たことがある“っていうんです。ただ、友人知人といった関係ではなく、“あくまですれ違って顔を見たことがある程度で、名前がわからない”って…」
そう言って、A子さんは、みきおさんから聞いて描き起こした犯人像のイラストを見せてくれた。特徴的な目と顎、そして点在するホクロが見て取れる。果たして、この男が、犯罪史上例を見ない、あの凄惨な事件を起こした犯人なのだろうか…。
この日、女性セブンは生前のみきおさんの写真を持参し、A子さんに改めて事件当夜の透視をお願いしたのだが、左手を写真にかざし、目を閉じて何かを読み取ろうとする彼女の表情は、曇るばかりだった。
被害者家族は、当然ながら、事件当夜は、肉体的にも精神的にも想像を絶する状況下に置かれており、思考は千々に乱れ、その思念を辿ろうとしても、鮮明に“視る”ことが難しいのだという。しかし、犯人の行動については、おぼろげながら見えたものがあったという。
「深夜1時くらいですね。最初にいちばん下の男の子の息が切れています。その後、お父さん、お母さんが襲われて、最後に女の子、という順番です。この犯人、お母さんのことも知っていますね…。“きれいな人だな”っていう彼の思いが、少し見えてくるんです」(A子さん)
そう言って、ため息をついたA子さん。あまりに悲惨な事件を透視したためか、少し疲れた様子だった。
後日、女性セブンは、A子さんが話した内容と犯人像について、事件解決のヒントになればと思い、東京・成城署の捜査本部に電話で伝えることにした。現在は38人となった捜査本部は、年を重ねるごとに情報提供も減少して、難航を極める捜査状況もあってか、A子さんの話に大きく興味を持った。
「栃木の事件で、逮捕前に名前も風貌も当てたというのは、本当ですか?」
応対した捜査員はそう言って驚いた。そして、A子さんの描いたイラストについて、顔の形やホクロの位置を入念に確認し、透視で服装は見えなかったか、身長はどれくらいだったかといった犯人像に加え、A子さんの経歴まで細かく確認してきたのだった。
そして、「A子さんの連絡先を教えてほしい」と求め、彼女の許可を得た上で連絡先を捜査本部に伝えると、感謝の意を伝えられた。A子さんの異能が、捜査の一助となることを願うばかりである。
※女性セブン2015年1月22日号