日韓国交正常化50周年の今年、韓国の反日の嵐は衰える気配がない。
なぜ韓国人が日本への復讐心と劣等感を拭い去れないのか──この謎に迫り、昨年夏、韓国で大論争を巻き起こした話題書『あなたたちの日本』が、『韓国人の癇癪 日本人の微笑み』と改題して小学館より出版された。
同書の著者・柳舜夏(ユ・スンハ)氏と『恨の法廷』など韓国関連の書も多い作家の井沢元彦氏が、韓国が抱える「歴史の宿痾」を論じ合った。
井沢:昨年末、大韓航空の女性副社長が乗務員にクレームをつけて飛行機をゲートに引き返させた「ナッツ・リターン事件」が日本でも大きな話題になりました。
柳:あれはやはり企業倫理の問題ですね。韓国では珍しい話ではありません。
井沢:あの事件によって、日本人の間にも韓国経済界が財閥に支配されている実態が知れわたりました。
柳:韓国は資本主義の歴史が浅く、財閥は非常に短い期間で誕生しました。それも、創業者が努力したというより、国策で巨大化した企業が多い。
井沢:だから、同族経営という古い体質を残したまま、三代目がいろいろ問題を起こしていると。私たちから見ると、彼らは貴族階級のように見えます。
柳:創業者は貧しい環境から出世した人たちなので、「貴族的」という言葉は私はピンときません。
井沢:とすれば「成金的」と呼んだほうが正しいのかな。柳さんの著書には、日本では実業家は尊敬されるが、韓国では70%の人々が財閥に嫌悪感を抱いているとあります。
柳:日本では、江戸時代に石田梅岩という思想家がいて、商人に対して贅沢や無駄遣いを戒め、謙虚に商売を永続させよと力説した。韓国にはそんな思想家はいませんし、土光敏夫や本田宗一郎のような範とすべき経営者もいなかったのです。
それどころか、韓国の財閥の多くで見苦しいお家騒動が年中繰り広げられ、脱税や賄賂も当たり前で、処罰すると経済が麻痺するという理由で見逃されている。嫌悪感を持つのが普通です。
井沢:手厳しいですね。
柳:韓国の実業家たちは羨望の的にはなっても、尊敬の的にはならないのです。資本主義社会において実業家は根幹にいるはずなのに、韓国では嫌悪の対象になり、求心力をもたない。
日本では天皇を中心に、多くの求心力をもつ指導層がいて、「一億一心」を実現しているが、韓国では絶え間ない分裂が起きているだけで、国民的な一体感が生まれない。日本に勝てるわけがないのです。いつまでも日本という鏡に映った自分たちの歪んだ姿に身悶えしているだけです。
※週刊ポスト2015年1月16・23日号