元プロレスラーであり、2013年に参議院議員として国政復帰したアントニオ猪木氏。2014年には北朝鮮行きを決行して物議を醸した同氏が、日朝関係について語った。
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2014年8月に北朝鮮で20年ぶりのプロレス興行を開催した。私と北朝鮮の張雄IOC委員が実行委員長を務め、日本や米国などから21人の選手が参加。会場の体育館は1万人を超える観客で連日満員となった。
私はスポーツ平和党時代からスポーツ交流を通じて一貫して世界平和を訴えてきた。私にできることは大衆にメッセージを送ること。これは安倍総理にもできないことだと思っている。
私は自分が持っているキャラクターの使い方をわかっているつもりだ。自分の人生観でいえば、徒党を組まないと政治ができないとは思わず、”猪木流”で言えば、一匹狼でもできる。
終戦70年の今年も北朝鮮でのプロレス興行の話が来ているが、前回の訪朝では朝鮮労働党の外交トップである姜錫柱書記ら北朝鮮の幹部と酒席を共にする機会があった。そこでは愚痴も本音も出た。もちろん拉致の話もした。日本側が水面下で交渉をしていると思っていたら、あまり深い話はしていないように感じられた。
外交は人間関係、信頼関係がなければ何も前に進まない。拉致問題担当大臣が10人以上も代わっているようでは、北朝鮮側もまともな交渉をすることはできない。拉致問題が暗礁に乗り上げている今、北朝鮮が対話の窓口を閉ざせば、日本は完全にパイプを失う。
今までもそうしたことの繰り返しだった。いったい何年、こんなことを続けるつもりなのか。
必要があるのなら、朝鮮労働党幹部と信頼関係を築いてきた私をいつでも使えば良い。選挙で拉致問題のパフォーマンスをしている議員とは違い、自分は命がけでやる。イラクの人質解放の時もそうだった。政治は踏み出してみないとわからないことが多い。今の政治、日本にはこの一歩を踏み出す勇気がない。
※SAPIO2015年2月号