加山雄三、77歳。体に漲るエネルギーがほとばしるように、言葉が澱みなく続く。昨年は人生初のフジロックフェスティバルへの参加や、自身のもつ武道館コンサート最年長記録の再更新など、喜寿にして新たな挑戦を続けた。
現在は47都道府県を巡る全国ファイナルツアーの真っ最中。今年で芸能生活55周年を迎えるが、その多忙を極める活動に「自分が最低3人は欲しいよ」と加山は笑う。そのバイタリティはまさに「永遠の若大将」の面目躍如だ。加山はこんな言い方をする。
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この前のクリスマスディナーショーも、生のロック演奏にしたんです。『君といつまでも』を想像していたお客さんは驚いたでしょうね。77歳っていうラッキーイヤーを新たな出発点にして、斬新なものを発信したかった。だから原点に帰ろうって思ってね。
僕はデビュー当初からロックがやりたかったんですよ。でも曲調と英語の歌詞に周囲の抵抗感があって、OKが出なかったんですね。そんなとき『恋は紅いバラ』に岩谷時子さんが詞をつけてくれてヒット、続けてこの雰囲気で曲を作ってみろといわれて僕が小一時間で作った『君といつまでも』が大ヒットしちゃったから驚きました(笑い)。そこからラブソング系になっちゃったんですよ。ですから、この年で原点に戻れたことはすごく嬉しいです。
昨夏に初参加したフジロックフェスティバルの経験は大きかったですよ。爆音で自分の声が聞こえないから、初めてイヤモニ(イヤーモニター)をつけたんだけど、僕だと補聴器と間違われそうだな、なんて思いながらね(笑い)。盛り上がってさ、後日アンケートの結果を見たら、出演した日本のアーティストの中で僕たち(THE KING ALL STARS)がトップ。嬉しかったね。
演奏後のツイッターも面白くてね、「加山、かっけェ~」「77ってマジ?」とか「加山がギター弾いてらぁ」とか、反応がすごかった。
ロックの曲も自分で作っているっていうと驚かれるけど、パソコンで楽器の音色を選んでアレンジまでしますよ。もう30年前からやってますからね。
※週刊ポスト2015年1月16・23日号