国際情報

西安事件の張学良 蒋介石ら国民党が共産党に負けた理由語る

 日中戦争時代、中国東北部の馬賊、張作霖の長男で、中国国民党の蒋介石・軍事委員長の身柄を拘束した西安事件の首謀者、張学良氏が晩年、中国国民党が中国共産党に敗北した原因について、「国民党は中心的な思想をもっていなかったからだ。それに比べて、共産党は共産主義思想を信仰にまで高めており、それが革命の原動力になった」と指摘し、共産主義を高く評価していたことが分かった。北京市政府機関紙「北京日報」が報じた。

 張学良は国共合作を主張していたが、これに反対する蒋介石が1936年12月、張学良を説得するため、西安を訪れた際、蒋介石を捕らえ、国共合作を実行するよう説得。蒋介石が納得したため、張学良は蒋介石の身柄を解放したが、反逆罪で逮捕され、懲役10年の刑を受けた。その後、恩赦で釈放処分を告げられるが、蒋介石は張学良を幽閉し続け、自由を奪われた期間は50年に及んだ。

 張学良は晩年、釈放され、ハワイで過ごし、自身の死後、公開することを条件に米コロンビア大学の研究者のインタビューに応じて、西安事件の内幕などを語っていた。張学良が共産主義を評価していたことは、このインタビューで明らかにしていた。

 それによると、張学良は国民党の方が共産党よりも数倍も強力な軍隊や兵器、さらに資金をもっていたが、結局、国民党が勝てなかったのは、中心的な思想がなかったためで、共産党軍は一種の信仰に近い共産主義思想をもっていたことを評価。張学良は後に首相になる周恩来ら共産党の最高幹部と接するうちに、「共産党は明確な目標があり、理想がある」として、張学良自身も共産主義に共鳴し、思想をともにするようになったという。

 これに比べて、国民党は孫文が提唱した三民主義(民族主義,民権主義,民生主義)を党の指導理念としたが、党の指導者が各自、自身の利益を優先し、共産主義のように信仰の部分にまで高めることができなかったと分析。

 最高指導者の蒋介石自身も利己主義的な傾向が強く、有用な人材を登用せず、蒋介石に媚びる人々を重用した結果、国民党軍内で厭世的な気風が蔓延して、汚職がはびこり、戦いの士気が上がらず、共産党軍に敗北する大きな要因となったと指摘。「中国国民党軍に人材がいなかったのではなくて、蒋介石が活用できなかっただけだ」と苦言を呈している。

トピックス

逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」に同行された愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、皇室とご自身の将来との間で板挟み「皇室と距離ができればこうした仕打ちがある」という前例になった眞子さんの結婚 将来の選択肢を“せばめようとする外圧”も 
女性セブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
「ピットブル」による咬傷事故が相次いでいる(左・米軍住宅参考画像)
《沖縄で相次ぐピットブル事件》「チェーンを噛みちぎって引きずった痕も…」自治体が狂犬病の予防接種すら把握できない“特殊事情”「米軍関係者の飼い犬だった」 
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルの飛行機でスヤスヤ》佳子さまの“寝顔動画”が拡散…「エコノミークラス」に乗った切実な事情
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン