中国では習近平指導部のかけ声の下、ぜいたく禁止キャンペーンが展開され、公用車の私的使用や、接待に名を借りた宴会などが厳しくチェックされているなか、今度は党・政府幹部の執務室の広さが規制の対象になっている。閣僚級や次官級、局長級など役職のランクによって、執務室の面積が厳しく定められており、公務員への締め付けが一層強化されている。
中国各紙によると、中国の経済政策を立案・実行する国家発展改革委員会などはこのほど、「党政府機関の執務室建設基準」と題する通達を中央や地方の党政府機関に通知した。
それによると、大臣級の執務室は54平方メートルに抑えるよう定めている。以下、次官級は42平方メートル、局長級24平方メートル、副局長級18平方メートル、課長級12平方メートル、係長級9平方メートルとなっている。これは中央機関の場合だが、省・自治区・直轄市でも同様だ。
これが広いのか、狭いのかは議論の分かれるところだが、同委はこの基準を定めるために、昨年5月に中央省庁や地方の各省の幹部の執務室の実態調査を行なったところ、中国科学院や林業局、民航局、三狭集団の中央の4部門と吉林、甘粛、湖南、雲南、黒竜江の地方政府の5省では、仕事を行なう執務室とはかけ離れている状態だったという。
例えば、執務室自体が300平方メートルもあり、そのなかに贅沢で大きな外国製の応接セットや、カラオケセットも備えてあり、さらに厨房も併設して、レストランのように宴会もできるようになっていたところもあった。トイレもホテル並みに広くて華美になっているところもあり、同委では「トイレは6平方メートル以下」と定めている。
さらに、庁舎の前に、大きな公園や大型の広場を建設するなど、土地や資源の無駄遣いが目立つところもあったという。また、庁舎自体が欧州風の城を模したり、米国のホワイトハウスを真似したような豪華な庁舎もあり、あまりに華美で贅沢な造りになっているところでは、同委が厳しく注意するなど、問題点が多数指摘されている。
習近平政権ではぜいたくを禁止し、節約を奨励していることから、同委では執務室の細かい規定を発表、通知したとしているが、地方政府からは「執務室やトイレの広さまで厳しく制限されては、逆に仕事の能率が落ちる。あまりにやり過ぎるのは逆効果だ」との不満の声が出ているという。