多くの人が抱く長嶋茂雄氏のイメージは打席での無類の勝負強さだろう。だが、意外にも本人は「ファンと一体になれる守備のほうが好きだった」という。守備の名手でもある長嶋氏が、ゴロとフライの捕球について語った。
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ゴロが飛んできたら、瞬時に捕球しやすい角度を調整し、待って捕るかダッシュするかを判断します。
ゴロには15種類あるんですよ。それぞれにグラブの出し方が違うんです。一つはこう、もう一つはこう……(と、グラブ捌きを実演する)。バウンドの大きさや強弱だけでなく、ゴロにはストレートもあれば変化球もある。この変化球が曲者なんだよね。捕るのが難しいんだけど、それを簡単に捕ってこそプロです。逆に盛り上げようと思って、何でもないゴロを難しそうに捕ったりしたこともありましたけどね(笑い)。
フライ? あれは1種類しかないから「黒ちゃん(黒江)、上がったぞ~」って任せていました。だってフライは遊びや芸を入れることができないから、捕っても面白くないんだもの(笑い)。
※週刊ポスト2015年1月16・23日号