ここ数年、ファミリーレストランが人気を取り戻しつつある。
昨年、8年ぶりに再上場を果たしたすかいらーく、景気回復の機運に乗って2000円以上する「プチ贅沢」なステーキの注文が絶えないロイヤルホスト、サービスの質向上で顧客満足度を高めたデニーズ(セブン&アイ・フードシステムズ)など、ファミレス大手の既存店売上高は軒並みアップしている。
そして、増税後の“メリハリ消費”で節約志向のサラリーマン層まで囲い込んでいるのが、イタリアンレストランのサイゼリヤだ。
同店は広告宣伝費などを一切かけない徹底したコスト削減を続け、低価格メニューを武器に出店を拡大してきた。いまや海外も含めた店舗数は約1200店、1日平均60万人・年間2億人もの来店客を呼ぶ巨大ファミレスチェーンに成長した。
週に最低2回はサイゼリヤを訪れるという30代の男性会社員(都内在住)にその魅力を聞いてみた。
「会社帰りに食事をしながら“ちょい飲み”したい時に最適の店だと思います。スパゲッティやピザといった主食のほか、ソーセージやエスカルゴのオーブン焼きなどオシャレな1品料理も399円で食べられるので経済的。
お酒もグラスワインは1杯100円、ボトルで頼んでも1000円程度からと、とにかく安い。どんなに食べて飲んでも3000円以内で収まるので、居酒屋に行かなくても十分。同僚たちと行く機会も増えました」
サイゼリヤでのファミレス飲みにハマっているのは、なにも男性ばかりではない。千葉県在住の40代主婦がいう。
「小学校のママ友や同じマンションの住民同士の会合では決まってサイゼリヤを利用します。値段が安いから相手の懐事情を考えなくてもいいですし、サラダやデザートメニューもあるので、ランチで出掛けてグラスワインを飲みながらつい長居してしまうことも多いんです」
もはや家族連れ中心のファミレス業態では括れなくなったサイゼリヤ。1月13日に発表した2014年9~11月期の決算でも、売上高(324億円)、純利益(9億1100万円)ともに前年同期比よりも伸び、好調をキープしている。