ペットとして飼われている犬や猫の数は2000年以降、高水準で推移している(ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」によると2013 年の犬の飼育頭数は約1000万頭、猫は約970万頭)。ペット関連の消費も右肩上がりで伸びており、フード、医療、美容、ホテル、グッズといったペットビジネス市場の規模は1兆4000億円を超えた。ペットにお金と手間をかける飼い主が増え、「ペットに快適な生活を与えたい」という欲求が高まることで、ペットビジネスは進化し続けている。
たとえば「食」。ペットの食べ物は多様化している。『ペット市場の現状と展望』(JPR刊)著者の成田司さんが言う。
「ケーキ、おせち、お雑煮の他に、ペット同伴可能な旅館ではコース料理などが用意されているところもあります」
食べるものばかりか、“栄養の摂り方”まで人間に近づいている。栄養バランスが偏らないように「サプリメントで栄養補給」ができるようになったのだ。
医療機器の製造・販売や医薬品製造を行う『テルモ』は皮膚の健康に役立つセラミドに、血液をさらさらにする効果などがあるEPA(エイコサペンタエン酸)、動脈硬化や高脂血症予防に有効性があるDHA(ドコサヘキサエン酸)が配合された「デルフォート」(希望小売価格1箱60粒3400円・税別)や関節の健康維持に役立つグルコサミン、ヒアルロン酸などが配合された「ジョイフォート」(希望小売価格1箱120粒3980円・税別)といった犬猫用の栄養補助サプリメントを発売。大手化粧品メーカーから1袋60粒入りの人間用DHAサプリメントが1000円未満で販売されていることと比較するとかなり“高級”だ。同社はサプリの需要についてこう分析している。
「栄養価の高いフードや医療の進歩でペットが長生きできるようになり関節の痛みや視力低下など人間の高齢者と同じ悩みを抱えるようになりました。ペットをお子さんのようにかわいがる飼い主さんたちはそうした症状を解消、予防するためのサプリを試しているようです」(アニマル事業部)
※女性セブン2015年1月29日号