球春間近。今季の新人の最大の注目は、豪速球と驚異的なスタミナで甲子園を沸かせた楽天の安楽智大だ。コボスタ宮城で自主トレ中のドラフト1位右腕について、大久保博元監督は早々と「春季キャンプ一軍スタート」を公言している。弱冠18歳のスーパールーキーがプロ1年目の始動に際して決意を語った。
安楽は楽天に「縁」を感じていた。
「入団会見で初めてユニフォームに袖を通しましたが、楽天カラーのエンジ色は済美カラーです。共通点があったのでよかったと思うし、楽天イーグルスはとてもいいチームだと思っています。入団できてよかった」
愛媛・済美高2年時に出場した2013年春のセンバツでは、772球の熱投でチームを準優勝に導いた。続く夏の県予選準決勝では自己最速の157キロを記録する。
しかしその後の秋の県大会中に右肘を故障。「右尺骨神経麻痺」の診断を受けた。その影響からか3年夏の県予選でまさかの敗退を喫する。生まれて初めての試練に直面した。
「甲子園では緊張しなかったのに、ドラフトでは緊張しました。(ケガの影響もあったので)指名されなかったらどうしようとも思っていましたから……」
安楽は故障以来、プロ入りに向けて黙々と肉体改造に励んできた。下半身を中心とした週4回のウエイトトレーニング、これまでほとんど行なわなかった体幹トレーニング、インナーマッスル強化に加え、四足歩行などユニークな鍛練法にも挑戦。2年時に63センチだった太股まわりは68センチになり、体重も90キロと逞しさを増した(身長は187センチ)。
目標とする投手はヤンキースの田中将大だ。「体格ではマー君に引けを取らないが」と水を向けると、
「田中さんは体脂肪率がそんなに低くないと聞いています(田中は10%台後半、安楽は12%といわれる)。体脂肪がそこそこあった方が直球に力が乗るということで、参考にさせていただいています」
と研究熱心なところを見せた。地道に体力作りに取り組んできたため、故障の影響はないという。
「痛みや違和感はまったくありません。まだ10割ではないけれど、これから徐々にボールが走って来ればいい。2月1日のキャンプ初日から、行けといわれたら(ブルペンに)行けるようにしたい」
※週刊ポスト2015年1月30日号