昨年の総選挙後に政界引退を表明した石原慎太郎氏は、引退会見で「死ぬまで言いたいことを言って、人から憎まれて死にたい」と語った。その言葉通り、50年近くに及んだ政治家生活を終えてなお、その鋭い舌鋒は衰えない。1月16日発売の週刊ポストでは、石原氏が、これから国を担う日本の若者に厳しく覚醒を促している。
作家としての顔を持つ石原氏は、まず“小説”についてこう述べている。
「エゴ、個性の欠如を特に強く感じるのは小説の世界だ。若い書き手の作品に目を引くものがほとんどない。作家が世間に媚びるためのマーケティングばかりしているから、実際に起きた事件や流行りの社会問題をとらえた作品だらけになり、『これを書きたい』という書き手自身の感性が感じられません。
芥川賞の選考委員をしながら、自分の足をすくう新人が出てくることを期待していたが、目を見張るような作品はほとんどなかった」
この他、石原氏は、
「日本の若者には高校を卒業した後、大学に入る前の2年間、集団生活を義務づけるべきだと主張してきました。自衛隊、消防、警察、あるいは海外青年協力隊でもいい。それは、集団生活を経験するからこそ個性が磨かれていくからです」
「今の若者にあるのは薄っぺらい我欲ばかり。金銭欲や物欲は衝動的な感情にすぎない。それを増幅し、媒介するのが携帯電話やパソコンで、バーチャルな対人関係しかないから、肉体的にも精神的にもひ弱になる」
と、若者に対する思いを吐露。
「『ジコチュー』という言葉は悪い意味で使われるが、自己中心的だっていいじゃないか。周囲に合わせているだけでは人生はつまらないし、現状を打破する突拍子もない発想など絶対に生まれない。そんな日本人ばかりになったら、この国に未来はなくなってしまう。エゴが強い、嫌われる若者がもっともっと出てくることに期待します」
と、若者の奮起を促している。