投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、1月19日~1月23日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、原油価格の下落基調を受けてディスインフレ懸念が高まっている中、日本銀行金融政策決定会合と欧州中央銀行定例理事会での追加緩和策に注目する展開となる。ヘッジファンド勢が、米国当局による規制強化と商品市況の低迷で円・キャリートレードを手仕舞いつつあること、原油価格の続落を受けたオイルマネーの株式市場からの引き揚げ、ギリシャ議会選挙への警戒感などから、円買い圧力が強まることが予想される。
しかしながら、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額(23%⇒40%)から、ドル・円の下値は限定的であると予想される。
【日本銀行金融政策決定会合】(20-21日)
原油価格が下落基調を辿っていること、4月から消費増税の影響が無くなることで、日本のインフレ率がマイナスに落ち込む可能性が高まっている。インフレ目標2.0%到達の可能性が低下していることで、追加緩和策の可能性に注目することになる。
【中国の10-12月期国内総生産(GDP)】(20日)
中国の10-12月期国内総生産(GDP)は、前年比+7.2%と予想されており、7-9月期の+7.3%からの低下が見込まれている。予想通りに中国の景気減速基調が確認された場合、中国人民銀行による追加緩和観測、そしてリスク回避の円買い圧力が強まることになる。
【円・キャリートレードの手仕舞いと年金の円売り】
ヘッジファンド勢は、米国当局の規制強化、商品市況の低迷、スイスフラン・キャリートレードの損切りなどから、円・キャリートレードの手仕舞い(円買い要因)を加速させつつある。しかしながら、円高局面ではGPIFが外貨建て資産増額に向けて円売りを進めており、円買い圧力を緩和している。
【ギリシャとロシア情勢リスク】
原油価格が60ドルを割り込んだ状態が続いた場合、ロシアは2015年第1・四半期にリセッション(景気後退)に陥る可能性が警戒されており、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性も高まることになる。
ギリシャ議会選挙で、緊縮財政に反対する急進左派連合(SYRIZA)が政権を獲得した場合、債務再編の可能性が高まることで、ギリシャ金融危機の再燃が警戒されることになる。
1月19日-23日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。