フランス人ジャーナリストのエチエンヌ・バラール氏が、日本で一番感動したというものは「温水洗浄便座」だという。フランスでは水が出てくる便座は一般的ではない。フランス人も感動するこの温水洗浄便座、フランスではどのようにして売られているのか。
* * *
実は僕、フランスで自分の親のため、実家にウォシュレットをすすめたんです。すごくいいから、つけてあげるから使ってみなよ、と。
それで温水洗浄便座を探してみたんですが、どこにもない。
数年前の話だから今は改善されているかもしれませんが、フランスのメーカーで作っているところがないどころか、輸入もされていなかった。日本のメーカーと取り次いでくれるところもないんです。
それだけではなく、なんと韓国のメーカーが「ジャパニーズ・トイレ」という名前で販売していたんです。これには、日本のメーカーに頑張って欲しかったですね。
海外にもニーズはあるはずなのだから、努力すれば市場も作れるのではないかと。なぜ韓国メーカーが提供していて、日本メーカーがやらないのか、不思議に思いました。
自動で開閉するフタとか、音が流れる機能とか、ウケ狙いだけど小便器の的に尿を命中させるゲームとか、日本のトイレはおもしろい。
そうそう、まだ温水洗浄便座なんてなかった30年前から、水のリサイクル=手を洗った水がトイレに流れることにも感動しています。
すごくエコだと思うんです。資源を大切にしたり、スペースを節約するというのも日本の文化のひとつでしょうね。
●取材・構成/大木信景(HEW)
※SAPIO2015年2月号