昨今テレビ番組では、外国人の目を通して日本を見る番組が増えている。そんな中、韓国人作家の柳舜夏氏が、「外国人も当惑する日本人の親切さ」について語る。
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拙著『韓国人の癇癪 日本人の微笑み』(小学館)で指摘したが、初めて日本を訪れた韓国人は、日本人の親切さに触れ当惑することが少なくない。
日本人が、初対面の人間にもまるで「甘えん坊」の子供のような天真爛漫な笑顔を見せることも韓国人にとっては不思議だ。なぜなら、韓国の不親切と、韓国人の険しい表情に慣れきっているからだ。
日本人の“微笑み”は、無用なトラブルを回避するために自然と身についた“知恵”という説もある。日本は犯罪率が世界でもっとも低いほうに属するので、あながち間違った分析ではないだろう。
仮に日本人の親切がトラブル回避のためだとしても、不親切よりは親切を、また険しい表情よりは笑顔を選びたい。不親切は後進国的な現象であり野蛮の象徴だが、親切は人間としての品格であり価値だ。
私は、純真で人懐こい日本人の「甘えん坊」精神が、今日の日本の礎を築いた重要なファクターのひとつと考えている。
本当に偉大な日本の精神とは、大和魂ではなく「甘えん坊」精神なのだ。
●取材・構成/大木信景(HEW)
※SAPIO2015年2月号