今年、結婚や開業、新居建築など大きなイベントを予定している人にとって大事な「吉日」。縁起を気にするなら、一年の暦は気になるところ。昨年9月17日、縁起日の「一粒万倍日」に入籍したのが、縁起を大事にしているというマネックス証券社長の松本大氏(51才)とテレビ東京の大江麻理子アナウンサー(36才)。ふたりの結婚で「一粒万倍日」を初めて知った人も多いのではないだろうか。
「大安」は知っているけど、「一粒万倍日」って? 高島暦などで知られる「神宮館」製作部の木村仁美さんに、暦の吉凶日について解説してもらった。
「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」とは稲のことで、一粒のモミも蒔いておけば、万倍のモミを持った稲穂になるという意味から、わずかなものでもやがて多くの数を生み出すことの例えで、物事をスタートするのに良い日とされている。
「成功を願って事始めに用いられ、特に新規事の開始や金銭に関すること、あるいは物を収納することなどに効果がある日とされています。入籍や結婚にも良い日です。気をつけなくてはいけないのは、吉が倍増する反面、この日に人から物やお金を借りると、後で苦労の種がますます大きくなってしまいます。良きにつけ悪しきにつけ、あとで多くの数に増えてわが身にかかってくる意義を含んでいます」(木村さん)
「一粒万倍日」以外には、どんな吉凶日があるのだろうか?
「暦の一年の中で最上の大吉日とされているのが『天赦日(てんしゃび)』です。天の恩恵に浴し、何の障害も起こらない日とされています。特に婚礼には最大吉日です。そのほか、開店や新規事業、開発、研究結果の発表などにも最良の日とされています」(木村さん)
年に数回しかない貴重な「天赦日」。2015年は3月3日・5月2日・5月18日・7月17日・9月29日・12月14日の6回。「一粒万倍日」は56回。近い日では、1月24日・27日、2月6日・11日・18日・23日、3月2日・10日・15日・22日・27日。
逆に、凶の日も多く存在するので注意が必要だ。主なものは、以下のとおり。
「不成就日(ふじょうじゅび)」
何をやっても不首尾の結果を招く凶日とされ、昔から事を起こすには用いてはならないとされる。婚礼、開店、柱立て、新生児の命名、移転、造作、使用人の雇用、契約事、相談事などは見合わせたほうがよい日。また、この日に急に思い立ったことを始めたり、願い事をすることなどもよくないとされる。
「八専(はっせん)」
一年に6回あり、8日間続く。降雨が多い期間であることから、農家の厄日の一つになっている。また、八専は仏事、供養などの法事、破壊的な仕事の着手、嫁取りなどには悪い日とされている。
「三隣亡(さんりんぼう)」
この日に建築、とくに建て始めや柱立て、棟上げなどをすると、後日になって火災を起こし、しかもその災禍は三隣(近所)を亡ぼす大凶日であるとされている。
「土用(どよう)」
立春、立夏、立秋、立冬前と一年に4回ある土用の期間中に土を動かすことや土木工事などに着手することは大凶であり、壁を破ることすら凶と古くから伝えられる。
「十方暮(じっぽうぐれ)」
この期間中は、十方の気がふさがっていて何の相談事もうまくいかず、労して功少ない日とされ、事を起こしても失敗損失を招くおそれがあるとされている。
「三伏日(さんぷくび)」
6月の夏至後から立秋後までにある3つの庚の日の総称。7月の大暑節の火の気(炎熱)がはげしいので、金(庚)を剋す理に基づき、三伏日は種まき、旅行、婚礼、そのほか和合のことに用いないほうがよいとされている。
せっかくなら、縁起日を利用して今年のイベントを計画してはいかがだろうか。