安倍首相が推し進める「女性の社会進出」。女性にはどう映っているか。直木賞作家の佐藤愛子氏はまったく楽観視していない。
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私はこれまで組織に属することなく、一人で孤軍奮闘して生きてきた野人ですから。女性の社会進出について、実感としてお話しできることは何もありませんのよ。
でも近頃、安倍さんが急に女性の社会進出について言い出したことは気になっていました。外国では女性政治家も相当多いでしょう。イギリスのサッチャーさんとか、ドイツのメルケルさんとかね。
安倍さんは日本の女性もそういうふうになればいいと思っておられるのでしょうが、日本での社会進出の歴史は何といっても短いですからね。力のある女性の進出が生まれるにはまだ30年くらいかかると思いますよ。どちらにしろ、始めに(女性登用の)数を定めてそこに当てはめるのは本末転倒じゃないかと思います。
そもそも小渕優子さんにはマスコミも「次期総理」なんて囃していましたけど、あれはなんでなんですか? マスコミも軽薄ですね。家柄とか見栄えと政治家としての能力とは別でしょうに。
都議会で質問中の女性議員を男性議員が野次ったということを問題にした報道をいやというほど見せられましたけど、本当にくだらないことに熱中する時代ですね。
●取材・構成/末並俊司
※SAPIO2015年2月号