2015年は「老後のお金」が激変する年である。1月1日に実施された相続税増税だけではなく、年金カット、介護保険改悪などが重なり、国民の負担はますます増える。そこで週刊ポストでは増刊号『丸ごと一冊 老後のお金すべて解決』を緊急出版した。そのエッセンスを紹介しよう。
実施された相続税の大増税では、それまで、課税対象にならない基礎控除額は、「5000万円+1000万円×法定相続人の数」だったが、今年からは、「3000万円+600万円×法定相続人の数」へと大幅に減額された。
現預金や株券などで資産を持っているなら、不動産に換えておくことは効果的な相続税の節税術になる。税理士法人チェスター代表の福留正明氏が解説する。
「現預金はそのままの額が課税額を計算するための『相続税評価額』になりますが、不動産であれば相続時に決められた計算方法で評価額が決まる。一般的には、土地の評価額は実勢価格(購入価格)の7~8割、建物では購入価格の4~6割にまで評価が下がります」
その減額分だけ相続税を圧縮できるというわけだが、注意点は不動産価格の下落リスクだ。肝心の不動産価格が下がってしまっては元も子もない。買うならば価値が下がりにくい大都市圏の人気エリア物件が賢い選択肢となる。
中でも、都心のタワーマンションの高層階は節税効果が高い。たとえば同じマンションで階数が違う80平方メートル・3LDKの同じ間取りの部屋があったとする。高層階になるほど景観がいいなどの要素があるので、販売価格は1階が5000万円、40階が7000万円と大きく違うことはよくある。
ところが、評価額は景観などの“プレミア”は関係なく、同じ物件で同じ広さなら同額になる。したがって高層階のほうが節税効果が高い。
※週刊ポスト2015年1月30日号