投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、1月26日~1月30日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、連邦公開市場委員会(FOMC)、米国10-12月期の国内総生産(GDP)、日本の12月のインフレ率に注目する展開となる。ギリシャ議会選挙を受けて、ギリシャの金融危機懸念が高まること、ヘッジファンド勢が米国当局による規制強化と商品市況の低迷で円・キャリートレードを手仕舞いつつあることで、円買い圧力が強まることが予想される。
しかしながら、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額(23%⇒40%)から、ドル・円の下値は限定的だと予想される。
【連邦公開市場委員会(FOMC)】(27-28日)
イエレンFRB議長が今年4月以降の利上げ開始を示唆していることで、重要な金融政策の変更は無いと予想される。グリーンスパン第13代FRB議長は、2004年1月の連邦公開市場委員会(FOMC)で「相当な期間」から「忍耐強く」に変更し、5月に「忍耐強く」を削除し、6月に利上げを開始した。
【米国の10-12月期国内総生産(GDP)】(30日)
米国の10-12月期GDP速報値は、前期比年率+3.0%と予想されており、7-9月期の+5.0%からの低下が見込まれている。予想通りならば、米国の景況感改善基調が確認されることで、ドル買い要因となる。
【日本の12月の消費者物価指数】(30日)
日本の12月のコアインフレ率は、前年比+2.6%と予想されており、11月の+2.7%からの低下が見込まれている。消費増税の影響(+2.0%)を排除した場合、前年比+0.6%に低下することになり、原油価格の低下基調が続いた場合、2015年度のインフレ見通し(前年比+1.0%)を下回り続ける可能性が高まることになる。
【円・キャリートレードの手仕舞いと年金の円売り】
ヘッジファンド勢は、米国当局の規制強化、商品市況の低迷、スイスフラン・キャリートレードの損切りなどから、円・キャリートレードの手仕舞い(円買い要因)を加速させつつある。しかしながら、円高局面ではGPIFが外貨建て資産増額に向けて円売りを進めており、円買い圧力を緩和している。
【ギリシャとロシア情勢リスク】
ウクライナ東部での軍事衝突の激化、原油価格の低迷を受けて、ロシアからの資本流出が加速する可能性、リセッション(景気後退)、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性に警戒することになる。ギリシャ議会選挙で、緊縮財政に反対する急進左派連合が政権を獲得した場合、債務再編の可能性が高まることで、ギリシャ金融危機の再燃が警戒されることになる。
1月26日-30日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。