【書評】『おかあさんとごいっしょ(1)』逢坂みえこ/講談社/463円
「お母さんが苦手」「しんどい」「重い」「はっきり言って嫌い」/そんなことを言ってしまうと(中略)山ほどいいわけが必要な気がする〉
実の母と娘の関係を描く『おかあさんとごいっしょ』。何でも先回りしてやってくれる、パーフェクトな母を持つ30才の今日子。出産を控え、子育てに手出しは無用と初めて母に宣言します。やっと親離れできた!と晴れがましく思ったのもつかの間、育児に疲れ果て、結局は母登場(しかも実家近くに戸建ての家をポンと買ってくれた)! そして気づくのです。〈お母さんと一緒ならずーーっとお気楽な子どものままでいられて/ほんっとーに楽なの~~~〉。あまりの本音に思わず笑ってしまいつつ、ざらっとしたものが残ります。
今日子の元同僚、40才の加代は、独身、不倫中。母は〈ずーーーーっとあんたのそばにおるからね〉と外にも出ず、娘オンリーの毎日。冒頭のセリフは、加代の心の声です。
母たちはきっと「あなたを愛しているからよ」と言うでしょう。娘たちも愛は感じているし、母を愛していないわけじゃない。両者共に愛があるのに、うまくいかないのはなぜ…?
同じく母娘関係を描いた、よしながふみの『愛すべき娘たち』では「母というものは 要するに 一人の不完全な 女の事なんだ」というセリフにすべてが集約されている気がしましたが、本作はまた別のやり方でこの関係に迫ろうとしている気がします。共に迷い、考えながら読み進めたい一冊。
(文/門倉紫麻)
※女性セブン2015年2月5日号