オーストラリアで開催中のAFCアジア杯で、日本はグループリーグを3戦全勝で突破するなど成長を感じさせた。それも束の間、決勝トーナメント1回戦ではPK戦の結果格下のUAEに敗北し、課題を残した。この結果をどう評価するかは意見が分かれるところだが、大会前より日本サッカー協会は複雑な表情を浮かべていた。
理由はもちろんアギーレ監督の八百長問題だ。スペインリーグでの八百長疑惑でスペイン検察に告発され、2月にも審理が開始されると見られている。「協会の対応は遅すぎる」と憤るのは、元副会長の釜本邦茂氏である。
「協会は疑惑が確定してない段階での解任には問題があるなどといっていたが、事実が定かになっていなくても告発が受理された時点で解雇すべきだった。国内外に示しがつかないし、スポンサー企業にも迷惑がかかる。先延ばしにしたのは、アジア杯の結果が悪かった時に、それを解任の口実にしようとしたのでしょう。大きな間違いです」
しかも対応を先延ばしにしたことで、さらにクビを切りにくくなった。予選3試合は格下相手とはいえ見事な守備で完封。特にDFの森重真人や吉田麻也らは完全にアギーレの戦術に順応していることを印象づけた。海外のメディアからも、アギーレジャパンは高い評価を受けた。
UAEに敗れた後もサッカー協会は続投の意思を表明しているものの、世論に押されて解任は決定的ともいわれている。このチグハグすぎる対応では、処分の名目も立たないし、当然、協会の任命責任も厳しく問われるべきだ。
「現体制のナンバー2である原博実専務理事か、その右腕でアギーレと折衝して就任に漕ぎつけた強化担当の霜田正浩技術委員長のどちらか、もしくは両方が辞任することになるでしょう。大仁邦彌会長の辞任まではないだろうが、少なくとも減俸はあってしかるべき。まったく関係ありませんなどということになれば、ファンを冒涜する行為です」(釜本氏)
※週刊ポスト2015年2月6日号