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酔族たちが「おとなの水族館」と呼び慕う東京・鮫洲の角打ち

仕事帰りのサラリーマンで連日大盛況

 狭い道幅は江戸時代のままという旧東海道が京浜急行鮫洲駅と出合うあたりに、『飯田屋酒店』がある。お休み処と書かれた幟(のぼり)こそはためいてはいないが、その日の仕事を終えたサラリーマンたちが、喜び勇んでのれんをくぐる角打ち処だ。

「江戸時代から、というわけにはいきませんが、うちのかみさんと私で3代目。昭和8年からの酒屋ですから、もう80年は越えましたね。土曜日になると地元の皆さんも顔を出してくださいますが、平日はほぼサラリーマンの店という雰囲気ですよ」と、主人の古塩(こしお)幸弘さん(51歳)。

 鮫洲の商店街全体が賑わいを見せていた先代の頃よりはお客さんの数は減ったと主人は話すが、それが俄かには信じられないほど、この夜も大繁盛。商店街の人通りに影がさそうが、新しい年に改まろうが、鮫洲界隈で働く男たちの終業後のルーティンワークに変化はないようだ。

 この日の一番乗りは、「昭和の終わる頃から通っている」60代と、「この人に連れてこられて20数年」という50代のふたり連れ(サービス業)。「すみません。ふたり、いいですか」などといったよそよそしい挨拶などは一切ない。「帰宅時よりもリラックスしているかもしれない」顔で酒屋スペースを抜け、奥のショーケース型冷蔵庫の前に陣取った。

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