センター試験初日の1月17日に行なわれた国語の試験問題に評論家・佐々木敦氏の著書『未知との遭遇』(筑摩書房刊)からの一節が採用され、ツイッターについて論じる内容を含んでいたことが話題となった。
佐々木氏は自著が問題文になったことを知った試験当日夜、ツイッターで〈どんな設問だったんだろ。なんだか申し訳ないですね。そもそも俺が正解できるのか〉と心境を明かし、その後に〈そんなにゆうならやってみましたけど、問6はちょっとメンドくさいよね〉と設問に苦戦したことを困惑気味にツイートした。
「問6」は表現に関する設問で、8つの選択肢には、
〈第3段落の前半にある丁寧の助動詞「ます」がその段落の後半に出てこなくなるのは、読み手に対する直接的な気配りよりも内容そのものの説明に重点が移っているからである〉
といったものが並ぶ。その中から〈著者の表現の説明として適当でないもの〉を2つ選ぶ、慌て者が苦手なタイプの問題だ。著者は問題を解けたのか。佐々木氏に直撃した。
「問題を見て、本からなぜこの部分をピックアップしたのか不思議な思いでしたね。ネット上でクソリプと呼ばれるしょうもない投稿を送りつけてくる類の人に言及した部分が採用され、ネット批判と受け止められた結果、私のアカウント宛に大量のクソリプが送られてきたのには戸惑いました。ただ、一通り解いてみたら一応、満点が取れました」
著者だから解けて当たり前というわけではない。佐々木氏はどのように解いたかをこう説明する。
「現代文の試験で『著者の意図』についての問いを解く時は、テキストの著者、今回の場合は僕ですが、その意図を正面から考えてはいけません。質問を作った人が何を“正解”だと考えているかを推し量らないといけない。その“正解”が実際の著者の意図とイコールだとは限らない。つまり試験問題では、著者が正解を正しくないと感じることもある。いい点を取りたかったら、著者に解説を聞いてはいけませんよ(笑い)」
※週刊ポスト2015年2月6日号