代表選でのキャッチフレーズ「ブレない岡田」とは、こういうことだったのか。
民主党新代表に就任した岡田克也氏は、執行部人事で総選挙敗北の責任者である枝野幸男・幹事長を続投させ、玄葉光一郎・選対委員長、安住淳・国対委員長代理など民主党政権を崩壊させたかつての“七奉行”を次々に登用して「民主党は変わらない」ことを見せつけた。
玄葉氏は代表選で岡田陣営の選対本部長、安住氏と代表代行に抜擢された蓮舫氏は推薦人という露骨な論功行賞人事でもある。
代表選前に「第一希望は岡田」と期待していた自民党では、谷垣禎一・幹事長が、「民主党は与党経験を持っていて、その中でもその中心的な存在だった方」と岡田氏の代表就任を歓迎したが、この人事ではさらに笑いが止まらないだろう。
安倍政権には当面、4月の統一地方選、国会での集団的自衛権の行使容認に絡む関連法案審議、そして消費増税延期に伴う社会保障費カットといった懸案がある。いずれも野党第一党の民主党が国会で暴れると厄介だったが、この顔ぶれなら一安心なのだという。自民党国対幹部の声は明るい。
「1月の佐賀県知事選に敗れたことで統一地方選が不安だったが、枝野は指揮を執った選挙(2010年参院選、2014年衆院選)に連敗中の幹事長。岡田も選挙に弱い。これで地方選は負けるはずがない。
玄葉は外務大臣時代に沖縄米軍基地の辺野古移転を推進し、集団的自衛権行使も賛成論者だ。
安住は消費増税を決めた時の財務大臣だから増税延期で社会保障の財源が足りなくなったことを身に染みてわかっている。互いに手の内は知り尽くしているから、国会でガチンコでぶつかる心配はなくなった」
もうひとつの争点の原発再稼働については、岡田氏自身が再稼働容認を掲げているから火種にならない。
自民党が警戒していたのは集団的自衛権行使の強硬な反対論者で年金問題でも論戦を仕掛ける長妻昭氏が政調会長に就任することだったというが、「これも岡田さんがうまく代表代行に棚上げしてくれた」(同前)と願ったり叶ったり。
まさに国対政治と呼ばれ、国会審議が与野党の馴れ合いで進められた55年体制が再現されそうなのだ。弱小野党が政権のチェックを忘れて巨大与党との談合に走るなら、「八百長国会」と呼ばれても仕方ないだろう。
※週刊ポスト2015年2月6日号