犬が攻撃的になりやすいのはどんなときか。犬のしつけ教室・Can! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導する西川文二氏が、リードをつけている犬とつけていない犬の攻撃性について解説する。
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49日も過ぎてしまいましたな。誰のって、菅原文太さんのですよ。
私め、友人が長崎東映っちゅう映画館の無料券をどこぞから入手してきて、中学の頃からよく見てました、彼の映画。印象に残るのは、「まむしの兄弟」ですかな。
危険を顧みず仲間を守る、仇を討つ。敵は後ろ盾を得て強気になってる輩。なんてのが、その頃のやくざ映画のパターンでしたかね。
仲間を守る、後ろ盾を得て強気になる。さて、犬はこうした行動を取るのか。今回はそないなお話。
例えば、飼い主が抱いてるときにだけ、他人が手を出すと威嚇してくる犬がいる。飼い主を守ってるようにも見えるし、飼い主がいるから強気になってるようにも見える。でも、勘違いしちゃあ、いけません。事実は違う。
動物達は、危険を察知すると、2つの行動のどちらかを選択する。ひとつは相手から離れ距離をとる。もうひとつは、相手を威嚇し相手に距離を取らせる。
で、優先順位が高いのは前者。後者は闘争に発展することもあって、ケガを負うリスクが伴う。前者にはそのリスクがない。すなわち、前者の選択ができないときに、後者の行動をみせるということ。
話を飼い主に抱かれた犬に戻せば、その犬には距離をとるという選択肢がもはやない。ゆえに攻撃的になる。抱かれずに地面にいれば相手との距離はとれる。ただ、それだけの話なんですな。
実はリードをつけてる犬とつけてない犬、前者の方が攻撃的になりやすい。その理由もおんなじ。
そうだ思い出した、当時の東映映画はもっぱら2本立て。中学生の私めにとって、楽しみはやくざ映画ではなく、もう1本の方だった。梅宮辰夫、山城新伍のコンビ、池玲子なんて方々が主演。わかる人はわかるでしょ、どないな映画を楽しみにしてたかが。中学生には、大いに刺激的でありんした。
※週刊ポスト2015年2月6日号