東京都では例年よりも早い昨年12月上旬からインフルエンザの流行が始まり、学級閉鎖や院内感染のニュースも聞かれ始めている。大事な仕事やイベントを控えた人、そして受験生のママはもちろん家族の健康を預かる女性にとっては気が気ではないはず。
感染症対策の専門家である、国立国際医療研究センター 国際感染症センター・トラベルクリニック医長の金川修造さんは、「インフルエンザや風邪などの感染症対策は、ひとりだけがんばっても意味がありません。家族みんなで取り組むことが大切です」と話す。
そもそも、なぜインフルエンザを人からうつされたり、うつしたりしてしまうのか。
「インフルエンザウイルスは、感染力が比較的強いのです。もし自分がウイルスをうつされた場合、症状が出る1日前から、発症して7日後までは人にうつしてしまう危険な状態だと考えてください」(金川さん)
つまり、「風邪かな? インフルエンザかな?」という段階でもすでに、周囲にウイルスをまき散らしている可能性があるということ。
「インフルエンザ治療薬を使うとすぐに熱は下がりますが、ウイルス排出はしばらく続き、感染力はあります。症状が軽くなったからといって、安易に外出したり、マスクを外したりするのは禁物です」(金川さん)
ウイルスをもらわないためには、人ごみや体調の悪そうな人との接触は極力避けたいが、学校や仕事がある限り、そうもいっていられない。リスクがゼロにはならない以上、「かかった場合」も想定しておくのがよさそうだ。
「予防の主役は、何といってもワクチンです。ワクチンには、体の抵抗力を上げて感染を防ぐと同時に、かかった場合に症状を軽くする効果もあります。マスクや手洗い、うがいは、周りの人にうつさないためにも重要です」(金川さん)
金川さんたち医療従事者は、こまめに手洗いをして、ウイルスを洗い流している。つねにマスクを着用するのは、せきやくしゃみをしたときにウイルスをまき散らさないためだ。
また、うがいには、口の中を洗浄し、加湿する効果がある。さらに、うがいをする際に殺菌力の高いポビドンヨードが含まれるうがい薬を使えば、洗面台に吐き出した液に含まれるウイルス量を減らせるため、気づかないうちにウイルスをまき散らすリスクを低減できるという。
実際、うがい薬によってウイルス残存量には差があるという。
一般財団法人 北里環境科学センターの試験報告書「各種含嗽剤によるウイルス不活化試験」(平成25年10月2日)によると、アズレンスルホン酸ナトリウムうがい薬やセチルピリジニウム塩化物うがい薬など、さまざまなうがい薬とインフルエンザウイルスを15秒間接触させたところ、ポビドンヨードを含むうがい薬だけが検出限界値以下までウイルス数を減少させた。このことから、ポビドンヨードには口やのどに付着したウイルスを不活化する効果が期待される。
まとめると、インフルエンザ対策3原則は、「かかった人に接触しない」「マスク、手洗い、うがいで感染経路を断つ」「予防接種などを受けて抵抗力をつける」。
「『これだけで万全』というウイルス対策はありません。いいと思われることは何でもやる、それも家族や周囲の人と一緒に取り組むのが有効です」(金川さん)
年度末に向けて休めないこの時期、家族うがい等チームワークを発揮してウイルス対策に取り組んでみては?
※女性セブン2015年2月5日号