日本の選挙制度を見直すべきだという大前研一氏は、まず小選挙区制に本質的な問題があるという。今後、現実的に選挙制度改革をのぞめるのは、どんな形なのか。参議院の選挙制度改革をすることで、どのような展望が開け、国民の政治不信を取り除けるかについて大前氏が解説する。
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これからどのように選挙制度を改革すればよいのか? とりあえず議員定数を削減する方策として比例代表を廃止するという手もあるが、それにはほぼ比例代表でしか議席を獲得できない公明党と共産党が猛反対するので、法案が成立するのは難しいだろう。
現実的な選挙制度改革の可能性があるのは参議院だ。
たとえば、参議院を現在の選挙区146人・比例代表96人から道州単位で100人ほどを選ぶ仕掛けにすれば、アメリカの上院のように国際問題など国家の長期的な課題に取り組む余裕ができ、矮小(わいしょう)化した衆議院とは異なる役割を担うことが可能になると思う。
参議院の選挙制度改革なら、衆議院で法案を可決すれば、参議院が否決しても衆議院が3分の2以上の多数で再可決すればよい。
その程度の選挙制度改革もできないとなれば、国民の政治不信はますます募り、選挙の意味は失われるに違いない。
※週刊ポスト2015年2月6日号