胡錦濤・前国家主席の秘書だった中国共産党幹部2人の人生の明暗がくっきりと分かれている。「暗」は令計画・元党統一戦線部長で、昨年末、「重大な党規律違反の疑い」で身柄を拘束され、逮捕されるのは確実だ。「明」は陳世炬氏で、胡錦濤弁公室(事務所)の筆頭秘書を務めていたが、最近、党中央文明弁公室副主任に抜擢され大臣級の役職に就いた、と国営通信社新華社電が報じている。
まず、令氏といえば、1983年当時、共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)の最高幹部だった胡氏の秘書に抜擢されて以来、共青団や党中枢の党中央弁公庁で重職を歴任。胡氏が政治局常務委員に登用されると再び秘書を務め、日本の官房長官ともいえる党中央弁公庁主任として、ほぼ10年間も胡錦濤政権を支えてきた大幹部。李首相や汪洋・副首相、李源潮・国家副主席と並んで、まさに共青団の顔ともいえる重要人物である。
ところが、長男・令谷氏が600万元(約1億2000万円)は下らないとされるフェラーリを運転中、自動車事故で死亡。しかも、同乗していた女性2人が全裸状態だった。そのため、令計画氏は司法当局に手を回して、事実のもみ消しを図ったが、後に発覚し、2012年8月、党中央弁公庁主任から格下の党統一戦線部長に降格され、昨年末に身柄を拘束、当局の取り調べを受けている。
しかも、この一連の疑惑に絡んで、令氏の妻やきょうだい3人のほか、親族もあらかた逮捕されており、いまやかつての栄華の面影はない。