日本人にとって当たり前のことであっても、外国人の目からすれば、衝撃的で感動的なものもあるという。フランス人ジャーナリストのエチエンヌ・バラール氏が、日本で一番感動したという「温水洗浄便座」について語る。
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日本メーカーの、何か新しいものを作れないかと一生懸命考え、技術を磨いて今までになかったものを作るという気概はとてもいいと思います。
昔は、タクシーの自動開閉ドアに感動する外国人観光客が多かったんですが、いま日本に来た人が一番驚くのが温水洗浄便座ではないでしょうか。
僕もそうですが、はじめは困惑するんです。なんだろうと思いつつ、使わない。
生まれてから何十年と毎日使い慣れていたトイレに、日本では革命が起こっていた。初めて使ったときの衝撃は大きいですよ。それこそ「ええっ……!」と絶句しました。そして、これは癖になる、と。
そのもの自体も画期的な発明ですが、これが高級ホテル等だけでなく、店舗やパーキングエリアなどにも設置されているのがすごい。店の経営者の方が、トイレにまで気を使っているのがわかる。
トイレを見ればそのお店がわかるって言うじゃないですか。トイレもお店の顔というか、おもてなしはトイレにはじまる、という文化は素晴らしいです。
フランスなんて、先進国の中ではトイレが汚いことで有名。高級なところは別ですが、トイレにまではサービスが行き届いてない店が多い。
●取材・構成/大木信景(HEW)
※SAPIO2015年2月号