サポートする側もされる側も精神的・肉体的負担が大きい介護。介護職員の不足も取り沙汰されるなか、ロボットによる介護が注目を集めている。
例えば、人は歩行しようとするとき、脳が神経を通して、微弱な電気信号を筋肉に送る。その電気信号を皮膚につけたセンサーがキャッチして装着者の思った通りに脚の動きをアシストするのがサイボーグ型ロボット『HAL(R)』(サイバーダイン、2013 年レンタル販売開始)だ。
「自分の思い通りに歩行することで、脚から脳に歩けたという信号が送られます。脳が“正しい動き”を学習することを促し、高齢者や障害者の歩行訓練に大きな役割を担います。片側半身マヒだったかたが、『HAL』のトレーニングで約2か月後に元気に歩いて退院された例もあります」(広報担当者)
個人向けのレンタルは行っておらず、福祉施設や病院などで利用できる。これまでの移乗介助機器は体をつりあげるリフトタイプが主流だったが、『移乗介助サポートロボット』(富士機械製造、2015 年販売開始予定)は体を下から支え、要介護者の胸部を保持して抱きかかえるタイプなので、利用者の体の負担が軽減される。
「個人の体格や車いすなどの座面高に応じてロボットが最適な動作を算出。クッションのついた保持部に上体を預け、スイッチを押すと、人が立ち上がるときの上体の動きにあわせてせり上がります。利用者が自分の力で立ち上がろうとする意志をサポートします」(開発センター事業開発部部長・五十棲丈二さん)
価格は100万~150万円で今春発売を予定している。
電気通信大学発のベンチャー企業・メルティンMMIが開発中の義手『筋電義手』。従来の義手とは違い、筋肉の動きを記憶する機能を持つ。
「人間の体には無数の電気信号が流れており、それぞれ特性があります。それを信号別に分けて計測することで、例えば“えんぴつを握る”“箸を使う”という細かな動作が義手でも可能になります。さまざまな動作をする際の腕の力の入れ方を記憶させておくので、装着した人は、自分が思ったとおりに動かせます」(広報担当・石井利明さん)
同時に開発中の爪をつけた人工皮膚を装着すると、小さなコインも正確につかめるようになるという。
※女性セブン2015年2月12日号