サッカーアジア杯の準々決勝で敗れた日本代表に対し、Twitterで「不動のメンバーしか起用しないAKBサッカーはもう終わりだよ」とコメントしたサッカー解説者のセルジオ越後さん。こんな辛口批評とは裏腹に、実は穏やかな人柄で知られる。セルジオさんが、日本のサッカーに、あえて苦言を呈するのはどうしてなのか――
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ぼくの解説が“辛口”と呼ばれるなんて、いかに完全なプロスポーツが日本にないかということだよね。プロ選手に対して厳しいのは当たり前。でも日本は企業だけに頼っているから、完全なプロじゃない。アマチュアなんです。イタリアとかブラジルとか、プロスポーツがある国にはぼく以上に辛口のコメンテーターがいますよ。これはやっぱり国のスポーツ文化の大きな違い。
厳しく言うのはもちろん、もっと日本サッカーによくなってほしいから、ぼくのためにも(笑い)。サッカー人気とメディア露出が落ちていけば、スポンサーも撤退する。そうするとぼくらの仕事も少なくなる。これで飯食ってるんだから、もしも単なる批判だったら、結局ぼくが大損するじゃない(笑い)?
それから、日本人同士だとキツいことを言えないんです。 どのスポーツでも仲間意識が強くて、コメンテーターが本職じゃないのね。現場に戻りたい人が一時的にメディアで雨宿りしてるだけ。ジャーナリストやコメンテーターとして飯を食おうって人はほとんどいない。
最終目標が現場だから、後のことを考えると言いたいことも言えないんですよ。就職活動ってゴマをするでしょ。厳しいこと言って仕事がくるはずないもの。
みんなが監督を目指していて、何百人も順番を待っている。なんて効率の悪いことやっているんだろうと思うけど(笑い)。
それぞれの国の文化があると思うけど、ぼくは勝っている国の文化をマネしないとダメだと思うのね。日本はすごく独特だけど、もしそれが正しかったらとっくに世界中がマネしているの。学ぶところは学ばないと、いつまでたっても勝てないよ。
解説をするときに資料が出るんだけど、ぼくは実況者には資料が必要だけど、解説者には要らないと思っている。何が起きるかわからないから、起きたものを自分なりに伝えるっていうのが仕事。
解説者は放送席の監督なの。ベンチに座って、ほめるだけ、騒ぐだけでは勝てないよ。サポーターだったら問題ないけどね。
もちろん、キャラクターとしたらおもしろいよね。でも楽しいのと厳しいのは、やっぱり分けなくちゃいけない。もし、そのままベンチに座ってチームを指揮していたら、采配はふるえないからね。
※女性セブン2015年2月12日号