本書では鬱病や統合失調症も併発しやすいギャンブル障害の診断方法や症例を紹介した上で、官民一体となった依存の実態を多角的に検証。注目は〈消費者という視点〉だ。仮に食品が健康被害を及ぼした場合、責任は消費者ではなく企業にある。が、競馬や宝くじのCMが日々流れ、人気歌手やアニメを使ったパチンコ台も登場する中、ギャンブルだけは〈企業側の責任〉を問われないのである。

「特にパチンコ業界はあの派手な色や音で脳を刺激し、日に10万単位で金を吸い上げる仕組みを日々開発してきた。実は2011年にも厚労省は報告書をまとめていて、その時点で5.6%という諸外国に比べて格段に高い有病率を、〈公表するな〉と言った前科がある!」

 本書には氏の病院を2005~2007年に訪れた患者100人の被害実態が克明にまとめられている。大抵がにっちもさっちもいかない状態で駆け込んできて、注ぎ込んだ金額は平均1300万、最高は1億円を超え離婚や配偶者の鬱病など、家族に及ぶ被害も極めて深刻だ。 また、2013年に氏の地元で起きた中間市職員による生活保護費詐欺事件を始め、ギャンブル→借金→犯罪の負の連鎖も枚挙に暇がない。

「何しろパチンコ、スロットの管轄は各都道府県の警察と公安委員会で、全日本遊技事業協同組合や日本遊技機工業組合等々も含めて、彼らの大事な天下り先というのが日本の現状です!」

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