悪事を働いた人間の個人情報はどこまで保護すべきなのか──。日本でもしばしば生じるそんな議論なんぞどこ吹く風という光景が、お隣中国に現われた。
内陸の中規模都市・湖南省長沙市のターミナル駅正面玄関に掲げられた、幅46メートル×高さ8.5メートルの巨大LEDスクリーン。眺めていると、通常の広告映像の合間に突如人相の悪い男女の顔写真がデカデカと表示される。
画面の右上には「失信被執行人」とあるが、これは借金踏み倒しなどが原因で裁判所から支払い命令を受けた者のこと。地元裁判所が法律で定められた権限で公告しており、企業経営者ら計40人超が天下の往来に向かって順番に“さらし者”となっているのだ。
スクリーンには氏名や罰金額、判決文書のほか、身分証明書番号(国民一人ひとりに付与される番号で、出身地コードと生年月日などで構成)まで掲示されており、金額は約4万~2900万元(約75万~5億4600万円)と幅広い。
ここに掲載した写真のケースでは、罰金額は右から921.16万元(約1億7400万円)、2889.12万元(約5億4600万円)、2889.12万元(同)。スクリーンを管理する広告会社によると、多い日では1日100回以上流れることもあるが「公益放送なので広告料は受け取っていない」とのことだ。
地元議員によると、これまで行なってきた新聞上での情報公開が効果的だったため、今度は大型スクリーンでの“市中引き回しの刑”に踏み切ったというが、いくらなんでもやりすぎでは!?
撮影■西谷格
※週刊ポスト2015年2月13日号