子供たちを虜にし、時代を象徴する存在となった文具。1970年代後半には「スーパーカー消しゴム」が大流行、それに続き1980年代にも「消えない消しゴム」が大ブームとなった。「キン肉マン消しゴム」──略して「キン消し」である。
「僕が好きだったのは、ビッグ・ザ・武道。ずんぐりした体形は『トントン相撲』の力士としても安定感があった」(43歳会社員)
マンガ、テレビアニメのヒットに伴って、1983年から「ガチャガチャ」で販売開始。累計で延べ1億8000万個を売り上げた。キャラクターの種類は正規品だけで200種類以上に及ぶ。30代男性はこう話す。
「あの頃、キン消しを持っていない男子はいなかったが、それでもたくさん持っていたのは少数派。お金持ちの友人の家に行くとダブってたキン消しをくれるので、仲良くしていた記憶があります(笑い)」
人気キャラクターの消しゴムはみんなの憧れだった。
「主役以上に人気があったのがロビンマスクやラーメンマン。悪役で圧倒的な人気だったのがアシュラマン。持っていた友達に自慢されたのを憶えていますよ」(同前)
遊び方にルールはなく、それぞれが好きに使っていた。
「色が一色だったのでパンツに色を塗ったり、すごろくのコマにも使っていましたよ」(同前)
ちなみに「トントン相撲」では、「スラリとした正義超人よりも、ずんぐりしたサンシャインなど悪魔超人のほうが強かったので、妙な人気逆転が起きていました」(前出・43歳会社員)
今やキン消しにはプレミアが付く時代。「マンモスマン」などのレアものにはオークションで数万~数十万円の値がつくこともある。思い当たる読者は、実家の押入れを探してはいかが?
※週刊ポスト2015年2月13日号