初場所の一夜明け会見で審判部を公然と批判し、「本当に肌の色は関係ないんだよね。土俵に上がって、髷を結っていることが日本の魂なんですよ。みんな同じ人間です」と、協会内の人種差別を匂わせる言い方をして物議を醸した横綱・白鵬。本誌は昨年、白鵬が将来モンゴル人親方になる夢を持っていることを報じた(12月12日号)。
現在の協会の規定では日本国籍でないと親方になれない。しかし白鵬は一代年寄(*注)なら特例を認められるのではないかと、大記録を作ることに躍起になっているという見方がある。
【*注】現役時代に特別な功績があった横綱に対し、一代に限って認められる特別な年寄名跡。現役時代の四股名をそのまま名乗ることができる。取得には日本国籍が必要。
相撲ジャーナリストの指摘は興味深い。
「今回の問題で師匠の宮城野親方が白鵬を厳重注意したと報じられましたが、実は近年宮城野親方は白鵬をコントロールできていない。原因は2012年、大島部屋が閉鎖する際、宮城野部屋が旭天鵬などモンゴル人力士の受け皿になるよう白鵬が師匠に頭を下げたが、師匠が拒否したので2人の関係が険悪になったこと。
そもそも今回の一件で本当に横綱が申し訳ないと思っているのなら、普通は本人が出てくるでしょう。師匠が横綱を表に出せない時点で、関係はまだ改善されていないと思われます」
ある協会関係者は「第二の朝青龍になりつつある白鵬を、大事になる前に辞めさせる動きがある」という。
「今回の発言でさらに大きな声になってきた。しかし15日間続いた満員御礼が白鵬抜きでできるのかという不安や、“品格”だけでクビにはできないもどかしさがある」
横綱と協会、両者の溝は深まっているようだ。
※週刊ポスト2015年2月13日号