国際情報

習近平氏が継続する腐敗撲滅の新たな標的は李鵬元首相一族か

 習近平・中国国家主席は1月12日、北京で行われた第18期中央規律検査委員会第5回総会で、腐敗撲滅キャンペーンを継続する方針を明確に打ち出した。ジャーナリスト・相馬勝氏がレポートする。

 * * *
 腐敗撲滅について、新たな情報が入った。胡錦濤前国家主席の側近で失脚した令計画一族の権力基盤である山西省の李小鵬・省長が、担当していた腐敗捜査関連部門の監察や会計検査、それに国有資産管理の権限を剥奪されたのだ。省長の権限削減は改革・開放路線導入以来初めてとみられる。

 それは取りも直さず、李氏や李氏の父親である李鵬・元首相ら「電力閥」が新たな腐敗撲滅のターゲットであり、さらに江沢民一族をも巻き込んだ奪権闘争に発展する可能性を秘めているからだ。

 李小鵬氏といえば、父の李鵬氏同様、大学卒業後、電力技師の道を歩み、中国の国有電力会社大手、華能電力集団の会長まで上り詰めたものの、2008年に政界に転じた。

 しかも、その行政手腕が未知数にもかかわらず、山西省の副省長という異例の抜擢で、「最高幹部だった父親の七光り」と陰口を叩かれた。2012年11月の党中央委総会で党中央候補委員に選出されたが、最下位での当選だったことからも、その不人気ぶりが分かろうというもの。

 父親の李鵬氏は首相時代、世界有数規模の三峡ダム建設を陣頭指揮し、ダムの建設・管理費用を賄う1374億元(約2兆6100億円)ものダム基金の大半を私物化したなどの不正疑惑が囁かれているが、息子の李小鵬氏も黒いうわさが多い。例えば、李氏は昨年4月、「重大な党規律違反」の疑いで身柄を拘束された、国有企業最大手のコングロマリット、華潤集団の宋林・元会長と極めて親しい関係にあったことは知る人ぞ知る話だ。

 北京の中国人ジャーナリストは今後の展開を次のように予測する。

「宋林が取り調べを受けた時点で、李小鵬の身も危ないとの情報が駆け巡った。宋林が身柄を拘束されて、もうすぐ1年が経つ。李元首相の息子が関わっているだけに、規律検査委も慎重に容疑を固めているのだろうが、そろそろ宋林が起訴されてもおかしくない。そうなれば、李小鵬も無事とはいえないだろう」

 李氏は2013年1月、山西省長に選出され、令計画氏ら山西閥が軒並み狙い撃ちされるなか、いまだに現職だが、「すでに外堀は埋められている」(このジャーナリスト)ようだ。

※SAPIO2015年3月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン
父親として愛する家族のために奮闘した大谷翔平(写真/Getty Images)
【出産休暇「わずか2日」のメジャー流計画出産】大谷翔平、育児や産後の生活は“義母頼み”となるジレンマ 長女の足の写真公開に「彼は変わった」と驚きの声
女性セブン
不倫報道のあった永野芽郁
《お泊まり報道の現場》永野芽郁が共演男性2人を招いた「4億円マンション」と田中圭とキム・ムジョン「来訪時にいた母親」との時間
NEWSポストセブン
春の園遊会に参加された愛子さま(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会で初着物》愛子さま、母・雅子さまの園遊会デビュー時を思わせる水色の着物姿で可憐な着こなしを披露
NEWSポストセブン
不倫を報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁との手繋ぎツーショットが話題》田中圭の「酒癖」に心配の声、二日酔いで現場入り…会員制バーで芸能人とディープキス騒動の過去
NEWSポストセブン
春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
田中圭と15歳年下の永野芽郁が“手つなぎ&お泊まり”報道がSNSで大きな話題に
《不倫報道・2人の距離感》永野芽郁、田中圭は「寝癖がヒドい」…語っていた意味深長な“毎朝のやりとり” 初共演時の親密さに再び注目集まる
NEWSポストセブン
週刊ポストに初登場した古畑奈和
【インタビュー】朝ドラ女優・古畑奈和が魅せた“大人すぎるグラビア”の舞台裏「きゅうりは生でいっちゃいます」
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン