朝食やおやつとしておなじみのバナナ。日本人の年間消費量は1人当たり平均約18.2kg(総務省統計局『2013年家計調査』より)で、2004年にみかんを抜いて以来、11年連続1位を記録している。これほど日本人に愛されるバナナだが、最近では、健康のために摂りたいさまざまな成分が含まれている“万能フルーツ”としてひそかに注目されている。知っているようで知らないバナナの栄養価について、薬剤師の資格を持つ料理研究家・吉田三和子さんに聞いた。
「バナナには、糖質やビタミンC、B6、カリウム、葉酸、セロトニンなど、さまざまな栄養が含まれています。多くの栄養が1本で簡単に摂れますし、皮をむくだけで手軽に食べられるので、食生活に取り入れやすいのがいいですよね」(吉田さん・「 」内、以下同)
インフルエンザや風邪が流行するこの時期、感染症対策として免疫力を気にする人も多いだろう。一般に、免疫力アップには十分な睡眠やストレス解消、規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事が大切といわれている。そうした“栄養バランス”の面に加え、手間なく食べられ、さまざま栄養が摂れるバナナがオススメというのは、嬉しいポイントかもしれない。
また、免疫力アップにあたって意識したいのは、体中の免疫細胞の約60~70%が集中しているといわれる腸のケア。その腸内環境の改善に有効な、食物繊維やオリゴ糖も豊富に含まれている。
「食物繊維には、二つのタイプがあります。一つは、水分を吸収して便のカサを増す不溶性食物繊維。もう一つは、便を柔らかくするだけでなく、余分な脂肪も吸着して便と一緒に排出させる働きのある水溶性の食物繊維。バナナには、この両方が含まれているので、腸の健康をキープするのに最適です。さらに、腸内の善玉菌のエサになるといわれるオリゴ糖も含まれていますから、免疫力アップはもちろん、お通じの改善効果も期待できます。乳酸菌が含まれるヨーグルトと一緒に食べるのも、腸内環境改善には有効ですね。
バナナを選ぶ際には好みもあると思いますが、若いバナナより、ある程度熟成して、シュガースポット(皮に現れる茶色い斑点)が出ている“茶色バナナ”を食べると、免疫活性を高める効果のある『IL-12』という物質が、血液中に増えるという研究成果が発表されています。熟成すると糖度が増してきますから、生で食べても甘くておいしいですし、ひと手間加えると、バナナの新しい味わいを楽しめますよ」