【書籍紹介】『悲嘆の門(上・下)』宮部みゆき/毎日新聞社/各1600円+税
〈人間は《概念》などという形のないものと闘うことはできない。ただそれに染まり、それに呑み込まれるばかりだ〉。連続して発見される身体の一部が欠損した死体の話題で盛り上がるネット空間。電脳世界のあらゆる情報を監視する会社でバイト中の大学生・孝太郎は、ある手掛かりに辿りつく。一方、新宿の廃虚と化したビルの屋上に忽然と現われる“ガーゴイル像”。当たり前の日常の蓄積が孕む世界崩壊のサインに警鐘を鳴らすエンタメ巨編。
※週刊ポスト2015年2月13日号