中国人妻・月(ゆえ)さんとのカルチャーギャップ満載な夫婦生活を描いた人気エッセイマンガ『中国嫁日記』(KADOKAWA エンターブレイン)作者の井上純一氏が、新ブログ『月サンは困ってます』で会社の金銭トラブルに巻き込まれたと告白した。「80万部作家なのに無一文」だと笑う井上氏に、経営危機に直面している会社の再建計画についてきいた。
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――社長をつとめる銀十字社の今後の事業計画を教えてください。
井上純一(以下、井上):1月はピンチでしたが、なんとか山を越えました。今のところは『中国嫁日記』4巻が出て一息つき、月のフィギュアと同人誌総集編の再販が命綱です。
――昨年9月に会社のお金が無いと気づいた後、同人誌の再販はすぐ決めたのですか?
井上:委託販売しているショップ「とらのあな」さんから提案されて、初めてその方法に気づきました。同人誌関係からのお金を会社の資金繰りにあてることは想定していなかったんです。会社を回すには、せめて売れそうな仕掛品、版権をとったのに製造していない有名ブラウザゲームの人気キャラクターフィギュアなどを販売すること以外は思いつきませんでした。そのための資金をつくろうと考えていたんです。
――同人誌の再販と同時に発表された月さんフィギュアの販売目標は?
井上:「とらのあな」さんのご厚意で販売数を3000個まで増やしてもらっています。普通なら1500個なんです。でも、多めだというのに財政的なピンチはあまり変化しない。というのも、金型代金を甘く見積もっていたらしくて値段のつけ方を間違えたんです。
――かつては同人フィギュアの制作をされていたんですよね?
井上:これまで、同人フィギュアも含めて値段をつけていたのはフィギュア部門担当スタッフだったんです。今、そのスタッフはいないから、自分でやらないとならない。会社の仕事はマンガ部門もフィギュア部門もすべてできると自負していますが、値つけだけはやったことがありませんでした。
「とらのあな」の店舗特典として『中国嫁日記』4巻におまけでつけたマンガに「月さんフィギュアは1500個売れないと赤字」と描きましたが(※誌面に1700個とある箇所は誤植)、実際には1500個だとまだ100万円くらい損しています。
――月さんフィギュアの値段は、どうやってつけたんですか?
井上:自分がユーザーだったら5000円以上は出さないなという感覚で値段をつけちゃったんです。同業者が呆れて、原価を入れると販売価格が出る計算式を教えてくれました。それを使って損益分岐点をみて、値段を導き出すという使い方まで。次回からは間違えません!
――フィギュアについても、これまでと同じような売り方では事業再建と継続に追いつかない可能性がありますね。
井上:これまではフィギュアの宣伝は自分のブログでしてきませんでした。マンガを描くことで稼ぐのに専念していたので。でも、そうも言っていられないのでフィギュアについてもブログで積極的に触れていきます。フィギュアを作る過程、傾いた会社をなんとかたて直していく過程をマンガにしていくしかないという状態に追い詰められたんです。