神奈川県在住の会社員・重田のぞみさん(仮名・41才)は3年前に恋人にふられたことがきっかけで、糖質オフダイエットを始めたという。
「ご飯、パン、麺類などは一切食べないようになりました。半年ほど経ったころから面白いほどやせ始めて、心の中で元彼を見返せた、なんて思ったんですよね。でも、それからさらに半年ほど続けた頃から、どんどん疲れやすくなって、ちょっとしたことでイライラするようになったんです。なんとなく仕事のミスが増えたとは思いましたが、そのときはまだ特に気にしていませんでした。
ところがある日、会社の健康診断で腎臓の機能が低下していると診断されました。お医者さんいわく、原因は食生活の乱れ。幸い症状は軽いということでしたが、それを機に無理してダイエットすることをやめました。今思えばどうかしていました」(のぞみさん)
管理栄養士の三城円さんは、糖質を「制限」すること自体に問題はないが、完全に「オフ」にしてしまうことは危険だと警鐘を鳴らす。
「糖質オフを実践している人はたんぱく質を摂りすぎてしまう傾向があります。それにより腎臓に負担がかかるため、老廃物が体にたまりやすくなり、高血圧や動脈硬化、血管障害を引き起こす恐れがあります。今すぐ糖質オフ生活はやめるべきです」
完全なノンオイルもしかりだ。和歌山県在住のパート・中山紀子さん(仮名・45才)は、夫が健康診断で血中コレステロール値が高いと指摘されたことをきっかけに、油類の“駆除”を始めた。
「サラダ油やマーガリンなど、わが家にある油という油をすべて捨てました。ちょうど私もお腹のたるみが気になっていたので、ダイエットにいいと思ったんです。
パート仲間とたまにランチに出かけるとき、以前は彼女たちと同じようにポテトフライやピザなどを食べていましたが、次第にそれも嫌になりました。なんでそんなに不健康なものが食べられるのか、理解できなくなったんです。そのうち彼女たちとの関係も疎遠になってしまいました」(紀子さん)
紀子さんの場合も、極端な食生活を続けていくうちに、風邪を引きやすくなったり、寝つきが悪くなったりするようになったという。
成城松村クリニック院長の松村圭子さんは、脂質こそ女性に必要な栄養素だと言う。
「体を構成する細胞の外壁は脂質で形成されているため、脂質が不足することできれいな肌を維持する力がなくなったり、免疫力が下がったりするんです。そうすると感染症や脳血管疾患、がんになるリスクが高まります。
また、コレステロールが不足すると体内でビタミンDがつくられなくなり、骨量や筋肉量が減少します。同様に女性ホルモンの分泌量も減って、老化や認知症につながりやすくなります」
※女性セブン2015年2月19日号