春の甲子園の出場校が決まって開幕が近づく中、大会を主催する高野連(日本高等学校野球連盟)の元理事の不祥事に「大甘処分」が下されていたことがわかった。本誌は昨年、高野連理事で鹿児島県高野連理事長(当時)の佃省三氏が、愛人との不倫を県教育委員会に告発されたことをスッパ抜いた(2014年7月11日号)。
同氏が現職教員でありながら平日昼間から愛人女性の家に通い詰め、高野連主催の大会中に不倫旅行に出かけていたという告発だった。佃氏は取材に疑惑を否定した一方、本誌発売直後に理事長の職を辞任した。ただし、高野連・県教委からの処分は発表されていなかった。
1月30日、高野連の上部団体にあたる日本学生野球協会はようやく佃氏の処分内容を「3か月の謹慎処分」と発表。高野連を取材するとこんな言い方をした。
「協会の処分決定が遅れたのは、案件の報告書を提出する鹿児島県高野連が県教委の処分内容が決まるのを待っていたからだと聞く」
告発状を受理した県教委もすでに処分を決めたというのだが、県教委に聞くと、「県の公表基準があり、処分内容は答えられない」(教職員課)とした。
鹿児島県では職員の懲戒処分(免職、停職、減給、戒告)は公表され、内部処分(訓告、厳重注意、注意)は非公表。非公表の甘い処分だったのか。取材を進めると呆れた実態が浮かび上がった。地元記者が明かす。
「昨年12月、記者クラブに『2012年8月に特別休暇を4日間不正利用した男性教諭が減俸1か月(10分の1)の処分』と発表されたが、これが佃氏のこと。
大会中の不倫旅行が“休暇の不正”と認定されただけで、不倫そのものや勤務時間中の愛人宅訪問は不問に付された」
処分の軽さもさておき、減給であれば公表すべき案件なのになぜ本誌の取材に答えないのか。県教委を問い詰めると「公表資料は記者クラブにしか配らない」との驚くべき前時代的な回答だった。
どうやら鹿児島は「不良教師天国」のようだ。県民はよほど警戒して教員たちの行状を監視しなければなるまい。
※週刊ポスト2015年2月20日号