受験シーズンまっただ中。最近では学生たちの将来の選択肢を広げるべく「手に職がつく大学」も増えている。そんな個性派大学のひとつとして、美術品の修復を専門的に学べるのが、東北芸術工科大学芸術学部の文化財保存修復学科だ。
研究室にはレントゲン装置やX線回析装置、実体顕微鏡などが並び、芸術学部らしからぬ雰囲気が漂う。
「修復が必要な文化財はレントゲンで内部の状態を把握し、実体顕微鏡で表面の付着物などを確認、同時に科学分析にかけ素材や使われている塗料を特定することから始まります」(藤原徹学科長)
破損箇所や原因を突き止めることで、修復方法が決まる。ひと口に修復といっても、全く同じ素材を使って元通りの形にするわけではない。
「後世のために修復箇所がきちんとわかるようにする必要があるのです。史料としての価値を守りながら、展示公開できるように必要最小限の処置を模索します」(同前)
大学に付属の文化財保存修復研究センターがあるため、全国の美術館から修復が必要な文化財が集まってくる。それらの絵画や銅像などの修復作業を手伝いながら技術を身につけていく。
博物館や美術館に就職する学生が多いが、中には科学分析の経験を生かして、警察の科学捜査研究所に就職する学生もいる。
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2015年2月20日号