プロ転向3年目にして、早くも米ツアーの上位の常連になっている。米男子ゴルフツアーに挑戦している松山英樹(22)が、今季開幕から好調を維持している。悲願のメジャー制覇は、もう手の届くところまできている。
「フェニックス・オープン」(1月29日~2月1日)ではトップと1打差の2位。「ヒュンダイトーナメントオブチャンピオンズ」(1月9~12日)でもトップと1打差の3位。今季開幕戦となった「フライズドットコムオープン」(昨年10月10~13日)でも3位と、松山は7戦でトップ10以内が4試合、予選落ちはわずか1試合という素晴らしい成績を挙げている(数字は2月4日現在。以下同)。
賞金獲得額はすでに135万ドルを超えた。来季のツアーのシード権に大きく影響するフェデックスポイントランキングは10位と、文句なしのトッププレーヤーだ(世界ランクは14位)。
米ツアーへの本格初挑戦となった昨年の同時期(5試合)と、今年のこれまでのデータを比較すると、平均飛距離こそ305ヤード(11位)から298.6ヤード(39位)とわずかに落ちたものの、FWキープ率は56.72%から65.22%(125位→56位)に、パー・オン率も68.95%から73.50%(92位→24位)へと急上昇している。
松山はアマチュア時代から「目指すのは動けるデブ」と公言してきた。テレビ中継で確認できるふっくらした面相からは、選手データにある体重90キロを上回るウエイトをつけたように見える。
「いま松山が理想としているのは、メジャー通算5勝を挙げているフィル・ミケルソンの体格。ある程度脂肪のついた体の方が体重が乗ったショットを打てて距離が伸ばしやすく、ケガも少ないと考えているんです」(ゴルフ誌記者)
米ツアー解説でもおなじみのタケ小山プロが語る。
「松山はあらゆる部門で弱点の少ないオールラウンドプレーヤーですが、特に目立つのが“エンジン”の大きさ。これまで体格に劣る日本人プレーヤーが、体を目一杯使ってスイングしていたのとは一味違う。パワーを8割に抑えたスイングでも、他の外国人選手と色ない飛距離を出せるのが強みです。
そして本人もいっているようにショートゲームを磨いてきたことが大きい。スコアに直接結びつくのはショートゲームとパッティングです。アメリカでの生活にも馴染んできて、“合う(勝ちやすい)”コースもわかってきた。今季はこれから松山がコンスタントに優勝争いに絡んでくると思いますよ」
※週刊ポスト2015年2月20日号