中国はベトナムやミャンマーなどにアジア各国に進出し、現地では様々な軋轢を生んでいるが、中国の進出はアジアに留まらない。天然資源が豊富なアフリカでも中国の影が色濃くなっている。
2000年以降アフリカで起きた資源ブームにおいて、中国は石油や銅、ウランなどを求めて企業と人を大量に送り込んだ。あくまで名目は「開発援助」だ。
アフリカ各国で活動するNGO関係者は本国から来た中国人たちの様子を「地元の文化、人を尊重しない。地域に溶け込む様子が見られない」と語るように、現地との軋轢は日常茶飯事。ザンビアでは中国人管理者と労働者との間で死傷者が出るほどの衝突もしばしば起きている。
ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員の平野克己氏は、中国の対アフリカ政策はすでに「資源獲得」から次の段階に移行していると指摘する。
「習近平政権は中国の賃金上昇を見越して、中国企業の製造拠点をアフリカに移転する政策にシフトしたようです。彼らは、ものすごい勢いで経済特区作りやインフラ整備を進めています」
押し寄せる中国資本に、アフリカの土地や建物は投機の対象になっているという。
「中国人が首都ナイロビの高級マンションを買い漁っていると聞く」(昨年までケニアに在住していた日本人カメラマン)
「地元民の間には『自分たちの土地が中国人によって奪われるのではないか』という恐怖がつきまとっている」(ケニア在住の日本人研究者)
こうした不安をよそに、中国は対アフリカ貿易総額で2009年に約911億ドルでアメリカを抜き1位になると、2011年には約1660億ドルまで拡大した。またエチオピアのアフリカ連合本部ビル建設費用2億ドルを全額負担し、BRICS開発銀行の緊急準備金においては40%の410億ドルを出資するなど、影響力を強めている。アジアと同様、中国にアフリカが食い尽くされるかもしれない。
※SAPIO2015年3月号