人気グラビアアイドルからAV女優やストリッパーに転身し、「ポルノスター」を自任していた小向美奈子容疑者(29)が6日、関東信越厚生局麻薬取締部に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された。
東京・渋谷区恵比寿の自宅マンションで覚醒剤を隠し持っていた疑いだ。2009年には使用、2011年には譲り受け(後に不起訴)で逮捕されており、今回が3度目となる。今回の事件で注目されるのは逮捕したのが「麻薬取締部」であることだ。
通称、「麻取(マトリ)」。逮捕権を持つが、警察ではない。厚生労働省所管の部署で、麻薬Gメンとも呼ばれる捜査のプロが集まっている。
麻取は警察とは違い、捜査手法として「囮捜査」が認められている。捜査員であることを隠して薬物の密売組織や売人に接触し、売買の場に潜入して実際に麻薬を購入する──。そうしたスリリングな捜査の様子は過去に何度も映画やドラマの題材になってきた。現役の麻薬取締官がいう。
「危険ドラッグが社会問題になり、それまで法律で全国267人と定められていた麻薬取締官が昨年末に29人増員すると発表された。また、現在の関東信越厚生局の麻取部長はマスコミに注目されるのを嫌がらないどころか、“できるだけ目立つ奴を挙げろ”という方針だ。違法薬物に手を染めている芸能人やスポーツ選手を逮捕すれば、世間にも“薬物はやってはいけない”という啓蒙になると考えている」
昨年、警視庁は歌手のASKAを覚せい剤取締法違反などの容疑で逮捕して注目を浴びた。麻取が逮捕した小向容疑者も過去2回逮捕したのは警視庁だった。警視庁捜査関係者がこう明かす。
「前回逮捕した時は嫌疑不十分で不起訴だった。警視庁はその後もずっとマークしていたが、それを麻取に横から持っていかれた形だ。今後は大物を狙い合う競争になる。ASKAや小向に限ったことではないが、芸能人が逮捕されると、その売人ルートにも捜査のメスが入る。芋づる式で有名人が摘発されるシナリオも考えられる」
※週刊ポスト2015年2月27日号