借金を抱えていたり、家庭が貧しかったり、他人にはいえない事情を抱える“ワケあり”だったり……そんな女性たちが働く場所というイメージは今や昔。都内の名門私立大に通う4年生の聡美さん(22歳。仮名)がいう。
「“リゾート地のアルバイト”感覚で飛田新地で働いている子は結構います。1週間で100万円稼げるという誘い文句に惹かれました。卒業旅行で1か月ぐらいヨーロッパ、アフリカを回りたいから。
これだけ稼げるバイトは他にないんじゃないですか? 働いてみると、病気の管理もしっかりしていて、わずかな時間なので気持ちはラクでした」
ツヤのある黒髪で、女優の堀北真希に似た清純そうな彼女は昨秋、飛田新地のいわゆる「ちょんの間」で1週間働き、80万円を稼ぎ出したという。
飛田新地は大阪・西成区にあるかつての遊郭の名残をとどめる街だ。半径200mほどの一画に100軒ほどの“料亭”が軒を連ね、その軒先では、胸の谷間や脚を強調した服やナース服、チャイナドレスなど衣装も華やかな若い女性たちが男性を誘う。
大正時代から続く色街は、1958年(昭和33年)に売春防止法が施行された後も、“料亭”という名目で生き続けている。女性を直接見て店に入り、2階の個室に上がって飲み物を飲む。そこで女性と自由恋愛する──というのが建て前だ。
飛田の元料亭経営者で、現在もスカウトマンとして活動する杉坂圭介氏がいう。
「“料亭”が作る組合のしっかりした管理により、暴力団排除から性感染症の防止策まで徹底している。昔の『怖い』、『怪しい』、『暗い』というイメージは薄れてきている」
インターネット上に洒落た求人ページを作って女性を勧誘していることも、女子大生の応募が増えている理由である。先の聡美さんもインターネットの求人広告を通じて応募した。
ある求人ページは、〈大阪出稼ぎツアー 目指せ1週間で100万円〉という見出しで、7日間で114万円を稼ぐシミュレーションまで載せている。
※週刊ポスト2015年2月27日号