首都の冬の恒例行事として定着した東京マラソンが今年も2月22日に3万6000人のランナーが参加して開催される。今回、初めて導入されたのがランナーに伴走する警察官「ランニングポリス」だ。
「1月のフランスでのテロ事件を受け、警視庁から打診された」(大会を運営する東京マラソン財団)
警視庁が選抜したメンバーは64人。コースを約10kmずつ4区間に分け、各区間に2人1組のペアを8チーム配置して交代で走る「駅伝スタイル」になる。
「機動隊員を含めた警備部所属の長距離走経験者からメンバーを選抜しました」(警視庁広報課)
何と箱根駅伝の経験者も4人含まれているとのこと。
「“5kmを16分台で走れる”が選抜基準。普段から走り慣れている者ばかりです。女性メンバーも4人いて、いずれも実業団で十分に通用する持ちタイムです」(警視庁関係者)
そうはいっても、彼らは普通のランナーと同じ格好で走るわけではない。特殊警棒や警笛を携帯しながら警備も行なうのは可能なのだろうか。メキシコ五輪代表で銀メダリストの君原健二氏がいう。
「私も招待されて出場していますが、東京マラソンは人の波に飲まれながら走る。観客も多く、場所によっては走るどころか歩くことも難しいほど。即座に不測の事態に対応するのは難しいと思います。特にハイスピードで走りながら、周囲で何が起こったかを把握するのは不可能でしょう」
精鋭を揃えた効果が十分に得られるかは疑問がありそうだが、ランニングポリスの狙いは別にあると説明するのは前出の警視庁関係者だ。
「彼らはカメラつきの帽子を着用し、その映像を警備本部でもチェックする。いわば中継カメラマンの役割です。何らかのテロ行為が起きた時の対策は決して明かされません」
どうやら警視庁側のアピールの意味合いが強そうだが、いずれにしても2013年のボストンマラソンテロのような惨劇が起こらぬよう万全を期してほしい。
※週刊ポスト2015年2月27日号