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娘に3年間作った「嫌がらせ弁当」 母は最終日に悲しんだ

最後の「嫌がらせ」弁当。普段の倍近い時間をかけた力作。

 まともに口をきかなくなった娘へのちょっとしたいたずら心から始まった「嫌がらせ弁当」が、話題を呼んでいる。

「下の娘が高校に進学する頃になって、私の話を無視したり返事をしなかったりと、ちょっとした反抗期が始まったんです。それで、“そんなに生意気な態度をとるならこうしてやる”と思って始めたのが『嫌がらせ弁当』でした」

 そう語るのは、東京・八丈島に住む、ttkkことKaoriさん。彼女が高校生の次女のために作ったユニークな弁当をアップしてきた人気ブログは、主婦たちを中心に大きな話題となり、とうとう一冊の本『反抗期ムスメに向けたキャラ弁ママの逆襲 今日も嫌がらせ弁当』(三才ブックス刊)となった。

「お弁当は、学校が休みの日を除いて必ず毎日作りました。私は12年前に離婚して、今はシングルマザー。離婚後は、島で2人の娘と一緒に暮らしていました。その後上の娘は自立して家を出ましたが、私は生活費を稼がないといけないので、昼はお菓子工場で働いて、帰宅後は内職をしています。寝るのが深夜になってしまうこともありますが、次の日は必ず朝5時半に起きてお弁当を作るんです。

 娘はあんまりきゃぴきゃぴしていませんし、かわいいグッズとかを好む子じゃありませんでした。だからあえて、ミッキーマウスや目玉おやじ、ちびまる子ちゃんなどのキャラ弁を作るようになったんです」(以下、「」内Kaoriさん)

 娘の友人からは「かわいい」「写真撮らせて」と評判だったが、当の本人は「普通のお弁当にして」と露骨に拒否。それでもKaoriさんはキャラ弁作りをやめることはせず、ついに2012年9月19日、“小言”入り弁当を始めたという。

「それまで天気が悪い日は送り迎えをしてあげていたんですが、私が前の晩遅かったこともあり、その日は「送れない」と言ってあったんです…。でも、結局ごねられて車を出す羽目に。いつもとは違ってお昼にお弁当を届ける予定だったので、猛烈にムカついていた私は『歩け!!』と海苔とチーズを使って怒りの文字を書きました。すると娘から『友達に笑われた』とメールが。

『歩かないのが悪い』と返したところ、『歩かないし』とまたムカつくメールがきましたが、次の日にはしっかり徒歩で登校していました。『これは効果があったな』と思って、それからは『後片付けをしろ』とかお弁当に小言を入れることが増えていきました。口うるさく言っても、『なんか言ってるなー』で終わっちゃいますけど、お弁当だと絶対にふたを開けて見るじゃないですか」

 小言弁当は一躍人気になり、ブログには賞賛の声が数多く寄せられた。

 そして1月27日。卒業目前の娘が弁当を持って行く最後の日にKaoriさんは、“卒業証書”を作った。

「ラストはこうしようと、前から考えていたんです。食べきれないほどおかずを盛りつけたら、案の定「こんなに食べられるか」って文句を言ってましたけど、大事そうに持って行ってくれました。

 娘を送り出して『やっと終わる』っていう達成感が湧き上がってきたんですけど、同時に『もう終わりなんだ』っていうさびしさもすごく強くって…。なんでしょうね…、娘のためにしてあげられることがこれぐらいしかなかったので、その楽しさとか喜びも終わってしまうと思ったんです」

 同書に掲載されたその “最後の嫌がらせ弁当”の次のページには、《ママの料理は美味しいし、私はママの料理が大好きです。(中略)心の底から尊敬しています。ママのようになりたいと思っています》と、娘からKaoriさんへの感謝のメッセージが綴られている。

※女性セブン2015年2月26日号

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